全てのレシプロエンジンに効果あり!
将来的なコンプリートエンジン販売も検討中
「市販エンジンとしては驚くほど精度が高く、クランクシャフトやコンロッドの材質も他メーカーでは見られんくらい良いもんを使っとる。ただ、ホンダのエンジンはちょっと理解できんことがあってな。中でも謎だったんが燃焼室。ZCの時代からそうなんやけど、独特な形状をしていて他のエンジンとは見るからに違うんよ」とF22Cの印象を述べるオフィストミタクの富松さん。
3A-U改3A-Rで燃焼効率を改善すれば、パワーやトルク、レスポンスはもちろん、燃費も大幅に向上することを証明していた富松さんは、同じ理論をF22Cにも当てはめてみたらどうなるか…と考えた。
そこで、まずブローしたF20Cを用意して、「こうしたら良いのでは?」と思い描いていたことを実践。トミタク流燃焼理論で一番のポイントになるピストントップと燃焼室の形状を見直した以外、加工は最小限に留めるという自身が設けたルールに則り、シートリング付近の段付き修正程度に抑えられる。
燃焼室加工後のシリンダーヘッド面研作業。ハイカムの装着を見越して、圧縮比はノーマルの11.1:1から12.5:1に設定される。富松さんいわく「僕の燃焼理論を実現する方法は2つ。3A-Rや4A-Rのようにスキッシュエリア形状に合わせたピストンでトップを凹ますか、今回のように燃焼室を加工してフラットトップピストンを組み合わせるかやね」とのこと。
画像はシリンダーブロックに組み込まれたトミタクオリジナルピストン。圧縮比12.5:1というと普通はトップがもっと大きく盛り上がっているが、ほぼフラットな形状で圧縮比アップを実現しているのがトミタク流燃焼理論の大きな鍵になる。「それでもF22Cは燃焼室容積が大きいもんで、微妙にトップを盛り上げとる。本当は真っ平にしたいんやけどね」と富松さん。
また、3A-Rではシリンダーヘッド交換という作業を伴ったが、今回のF22Cはベースエンジンを活かしているのが大きな違い。さらに、カムシャフトは純正品を使い、バルブタイミングも基準値のままとされる。
その上で点火時期を一般的なF22Cのチューンドエンジンに比べて遅角方向にセット。つまり、燃焼効率の改善によるエンジン特性の変化をより純粋に見極めようというわけだ。
富松さんが言う。「まずトルクの出方が大きく変わった。ピークもノーマルだと26.0kgmくらいだけど、28.0kgm出とったね。パワーも狙い通り305ps。VTECの切り替えポイントは、トルクの谷が一番小さい5600rpmに合わせとるよ」。
トップをほぼフラットな形状としたトミタクオリジナルピストンと燃焼スピードの速さがもたらすのは、オーバーラップ時における排気効率の改善だ。排気の抜けが良ければ吸気もスムーズに行なわれ、エンジンにとってはより効率的な吸排気サイクルが生まれることになる。ちなみに、インジェクターは純正380ccだが、現状すでにほぼ全噴射状態。燃料が入るということは燃焼効率に優れている証であり、それがトルク数値としても現われている。
「今後まず見直したいんがスロットルボディ。純正より2mm大きい62φを使っとるけど、吸気が制限されてると思うんよ。吸気ポートはノーマルで十分。これ以上大きくすると、排気量2.2Lのままでは流速の問題が出てきそうやね」と富松さん。
内燃機関の核心と言える燃焼効率を根本的に見直すという行為は、エンジンチューンにおける前人未到の領域。まだその第一歩を踏み出したばかりだが、目の前には誕生から100年以上が経つ内燃機関の可能性がまだまだ広がっているように思えてならない。
「将来的にはECUセッティングまでやって、オートガレージMでのコンプリート販売を考えとる。実走テストを繰り返せば、もっと良い方向性が見えてくるはずだから、やれることをやってから製品化したい」と、富松さんは締め括ってくれた。
●取材協力:オフィストミタク/オートガレージM 香川県高松市上天神町751-7 TEL:087-816-8777
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