英国では路上で充電できる設備が増えている=ロイター
【ロンドン=佐竹実】英政府は17日、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止すると発表した。気候変動対策の目玉として、温暖化ガスを直接排出しない電気自動車(EV)の普及を後押しする。ガソリン車の販売禁止は米国やカナダなどでも相次いでおり、EV化が世界的に加速しそうだ。
英政府は2月に規制目標を当初の40年から35年に前倒ししたが、今回さらに早めることで環境配慮の姿勢を明確にする。ガソリンと電気を併用するハイブリッド(HV)も、排出ゼロの規制をクリアしたもの以外は35年までに販売を禁止する。英国のクルマの年間販売台数は19年に約230万台だった。
欧米の政府はEV普及のために補助金など政策面での支援を拡充している。米テスラや独フォルクスワーゲン(VW)、中国勢などはEVの開発を競い、シェア拡大を狙う。これまでHVを得意としてきた日本の自動車メーカーの戦略にも影響しそうだ。
英政府は21年、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を北部グラスゴーで開催する。50年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目的を達成するため、「グリーン産業革命」と題してEV化や再生可能エネルギーの促進など10項目に120億ポンド(約1兆6千億円)を投じる。これにより25万人の雇用を創出する。
ジョンソン首相は「地球環境や経済の回復に我々は協力しなければならない。野心的な目標により英国民の暮らしが変わる」と指摘。温暖化対策について「グローバルな課題であり、全ての国は子孫のために行動を起こす必要がある」と話す。
環境対策の目玉はEV促進だ。英政府は13億ポンドを投じ、路上や家庭の充電施設を整備するほか、購入補助金に5億8200万ポンドを充てる。英国では日産自動車が北部のサンダーランド工場で「リーフ」を生産している。国内でのEV生産の促進を念頭に、EV向け電池の大量生産のため今後4年で5億ポンドを投じる。
首都ロンドンでは路上やスーパーの敷地内などで充電スタンドが急速に増えている。だが、新車販売の9割以上はガソリン車かディーゼル車で、あと10年でゼロにするのは簡単ではない。
英自動車工業会(SMMT)が9月に発表した調査では、ドライバーの44%が35年までにEVを購入する準備ができていないと答えた。英政府は11年から23年に購入補助として17億ポンドを充てたが、SMMTは「ごくわずかで、35年の目標達成には到底足りない」としており、EV化に向けた課題は少なくない。
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