スポーツバイクで名高いカワサキが電動の3輪ビークル「ノスリス(noslisu)」を発売。普通免許で乗れる小型特殊自動車(ミニカー)扱いのフル電動車と、免許不要の電動アシスト自転車「NB-01」をラインナップし、即完売と大人気だ。
ここでは、開発責任者インタビューに加え、他社製コミューターとの対比を交えつつ、カワサキが提案する“ラストワンマイル”の可能性を探ってみた。
文/沼尾宏明、写真/和歌山利宏、KAWASAKI、YAMAHA 、glafit
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エンジン付きで開発するも「女性が乗ってくれなかったので」電動にシフト
ノスリスを開発したのは、趣味性の高さで知られるバイクメーカーのカワサキ。それだけに実は元々、ノスリスは「エンジン付きのバイク」として開発されていた。
開発責任者の石井さんは、エンジニアとしてバイク関連の様々な仕事に携わるうち、将来技術開発も担当。その際、3輪や4輪など様々な乗り物を試作するうちに、冒頭のような声を街で聞く機会があった。そこで、「もっとたくさんの人が気軽に乗ってもらえるモノを作りたいと思うようになった」という。
当初、独自のフロント2輪機構は、125ccクラスのエンジン付きで開発。試作車の出来は悪くなかったものの、社内の試乗会では「女性が乗ってくれなかった」のだ。「もっと乗るためのハードルを下げる必要があると感じ、バイクから電動アシスト自転車とフル電動車にシフトしました」。
こうして2020年9月、新しいビジネスアイデアを公募する社内制度にノスリスを提案。記念すべき第1号に選ばれた。

独自のシンプル軽量システムで、価格は30万円前後
フロント2輪は、車体のバンク角に応じて傾き、片側のタイヤが障害物に乗り上げても、車体の平行を保つ。自転車に比べ、安定性と積載性は圧倒的に上だ。フル電動型はミニカー扱いなので、原付一種のように上限30km/hが適用されず、最大速度が40Km/hとなるのがポイント。加えてノスリスは、軽さと低価格を実現しているのが特徴だ。
「フロントの二輪機構はなるべくシンプル化し、軽さを追求。自転車の汎用部品を使うなどして低コストを目指しました。これも多くの人に乗ってもらうために必要な条件でした」。
さらに最重要ポイントとして「自立できること」を挙げる。三輪コミューターは自立できないモデルも多いが、ノスリスはストッパー機構を備え、スタンドなしでも基本的に倒れることがない。これらも「気軽に万人が乗るため必須の装備だった」と石井さんは話す。
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