米航空宇宙・防衛大手RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)は、傘下のプラット・アンド・ホイットニー(P&W)が参画する航空機エンジン「PW1100G―JM」の不具合が従来より大幅に拡大することを明らかにした。同エンジンの国際共同開発にはIHIと川崎重工業、三菱重工業の国内3社が参画している。特にIHIは参画比率が高く、業績への影響が懸念される。
同エンジンは欧エアバスの受注が好調な小型機「A320neo」に搭載されている。RTXは今後数年間で整備台数が600―700台増え、2026年までの3年間で平均350機が地上駐機を余儀なくされると公表した。今後数年間で30億―35億ドル(約4400億―約5100億円)の費用負担が生じると見込んでいる。
51%のシェアで参画するRTXほどではないが、約15%で参画するIHIの業績への影響は大きそうだ。RTXとのシェアの差で追加負担額を単純計算するのは難しいが、かなりの追加負担が見込まれる。同社は12日、「業績への影響は今後の見通しが明らかになった時点でお知らせする」と発表した。
IHIは24年3月期連結業績予想で、営業利益900億円の約57%を航空・宇宙・防衛部門で挙げると見込む。中でも航空機エンジンが稼ぎ頭で、スペアパーツ販売が収益源だ。PW1100G―JM搭載のA320neoが運航できなくなり、スペアパーツ販売が落ち込む影響も懸念される。
IHI以外では川崎重工が5%台、三菱重工は子会社の三菱重工航空エンジン(愛知県小牧市)が2・3%のシェアで参画している。各社の航空機エンジン事業はコロナ禍後に復調したが新たな難題に直面しそうだ。
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