4気筒マルチエンジンでも原付の単気筒エンジンでも、4ストロークエンジンの調子の良し悪しを大きく左右するのがシリンダーヘッドである。「エンジン腰上のオーバーホール」といった言葉はよく聞くことがあるが、ここでは、エンジン腰上部品の要である「シリンダーヘッドの内燃機加工」、つまり、シリンダーヘッド分解時の修理内容に注目してみよう。
吸排気バルブのコンディションが生命線
2ストロークエンジンで重要なポイントは、一次圧縮を保つこと。ピストンリングとシリンダー双方のコンディション。ピストンクリアランスの維持。モデルによってはリードバルブの気密性などなどである。4ストロークエンジンの場合は、吸排気バルブのシート当たりが、何よりも需要なポイントである。そんなバルブシートの当たり具合を修正するメンテナンス=内燃機加工が「吸排気バルブのシートカット」や「すり合わせ」である。
バルブの当たり改善のためにフェース研磨
過走行エンジンのシリンダーヘッドを分解し、旧排気バルブを取り外すと、バルブシートの当たり部分が摩耗によって、大なり小なり「凹状態」になっていることがわかる。そんな状況では、本来のエンジン性能を発揮することができない。コンディション低下した旧排気バルブは、内燃機加工によって復活再生することができる。そんな吸排気バルブの当たり面=フェースを研磨再生するのが、バルブシートのフェース加工だ。撮影協力していただいたiB井上ボーリングでは、アメリカ製バルブフェース研磨機を国産車でも対応できるように治具製作。バルブの当たり位置となるバルブシートを砥石研磨することで、凹形状から平面に研磨再生してくれる。
シートカットでバルブの当たり幅を調整
メーカー発行のサービスマニュアル(SM)を確認すれば、バルブシートの当たり角度や当たり幅が明示されている。小排気量や小径バルブの場合は、0.8~1.0ミリの当たり幅が多く、大径バルブの場合は1.0~1.2mmの当たり幅設定が多いようだ。特に、排気バルブは、排気ガスの燃焼熱を逃がしやすくするため、敢えて当たり幅を広く指示するエンジンチューナーもいる。これらの数値詳細は、内燃機業者が決めるものではなく、あくまで組み立て担当のエンジンチューナーが指示するもので、その数値に合わせて加工するのが、内燃機業者の腕の見せ所だ。オーバーサイズピストンを組み込む際には、ボーリング&ホーニング作業を依頼するが、その際に指定するピストンクリアランスなどの設定数値も、依頼者が指定するものだ。わからない時には内燃機業者へ相談してみよう。
光明炭(こうみょうたん)でくっきり目視確認
シートカット作業は、光明炭と呼ばれる朱色のマークで当たり位置を確認しながら作業進行。この排気バルブは当たり幅が1.0ミリ指定で、当たり位置は通常の真ん中が指定されたようだ。高温になる排気バルブは、熱を逃がしやすくするため、当たり幅を真ん中に指定するケースが多いが、混合気を吸い込ませる吸入バルブの場合は、俗に「外当たり」と呼ばれる、バルブの傘の外周側へ寄せてシートの当たり位置を指定するケースもある。このあたりのノウハウは、依頼者=エンジンチューナーの考え方次第だ。
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