ヤマハ発動機は7日、都内で開いたマリン技術説明会で、2030年代の実用化を目指し、水素エンジン船外機の開発を進めていると明らかにした。製品使用時や原材料調達も含めたカーボンニュートラル(CN)の2050年達成に向け、電動化以外の脱炭素技術の開発も加速させる。
来年2月に米フロリダ州で開かれる世界最大級のボートショーで試作機を初公開する。水素エンジンは従来の内燃機関技術を応用できることが開発にとって利点。既にガソリンエンジン並みの出力を実現するめどが立っているという。
ヤマハ発はこれまでに、電動船外機と操船制御技術を組み合わせた電動推進システム「ハルモ」の販売を欧州で開始し、国内でも北海道や徳島県などで実証実験を展開している。ただ、水の抵抗を受けるボートは自動車よりも大きなエネルギーが求められ、電動船外機はバッテリーを大型化しなければ航続距離も伸びない。そのため、「電動化だけではCN達成は困難」(丸山平二取締役)として、船外機も水素エンジンやバイオ燃料活用など多様な選択肢で脱炭素につなげる「マルチパス」に取り組む必要があると判断した。
丸山氏は、電動は内海や河川での利用を想定した30馬力以下の小型、高出力が期待できる水素エンジンは300馬力以上の大型などとすみ分けを図る方針を示した。水素エンジンの実用化に向けては、水素を燃焼させた際に発生する水がエンジン部品を腐食させたり、オイルに混ざったりするのを防ぐ技術的課題に加え、水素の供給インフラ整備が進むのを待つ必要があるとした。
(磐田支局・八木敬介)
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