Monday, December 25, 2023

ロータリーエンジンでバッテリー充電 マツダ「MX-30 ロータリーEV」 - 朝日新聞デジタル

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自動車って、まだまだおもしろい。なにしろ、いわゆるEV時代を前にしながら、マツダがロータリーエンジンを新開発。それを搭載した新型車を発表したのだから。パッションを感じさせるではないか。

2023年9月に日本で予約受注が開始された「マツダ MX-30 ロータリーEV」がくだんのクルマ。欧州での発表が先で、以来、大きな話題を呼んでいたが、12月にようやく日本で乗ることが出来た。スムーズな走りが印象的だった。

ロータリーエンジンでバッテリー充電 マツダ「MX-30 ロータリーEV」
クーペライクな前後長が短めのルーフがスタイリッシュ 写真=筆者撮影

ロータリーエンジン搭載の新車ってどんなだ?と、私たちが長いこと待っていたクルマである。

マツダとロータリーといえば、他の例でいうと、フェラーリと12気筒、リーバイスと501、新宿中村屋とカレーのように、強く結びついている。広島市内で、マツダのロータリースポーツカーを専門に扱う中古車販売店を見つけたこともある。それぐらいファンが多い。

でも、今回のMX-30 ロータリーEVでは、ロータリーエンジンを駆動に使っていない。シリーズハイブリッドといって、エンジンの仕事は駆動用バッテリーの充電のためだ。

シリーズハイブリッドは、日産でも「エクストレイル」や「セレナ」などで採用。ただし、MX-30 ロータリーEVでは、外部充電も出来る。そこが独自だ。MX-30には21年発表のピュアEVモデルも存在するが、今回のMX-30 ロータリーEVのメリットは航続距離の長さにある。

MX-30 EVが、一充電あたり256キロの走行距離なのに対して、ロータリーEVは107キロのEV走行ができるうえ、シリーズハイブリッドシステムのおかげで「700キロごえ」(マツダの技術者)。ここが最大のちがい。

ロータリーエンジンでバッテリー充電 マツダ「MX-30 ロータリーEV」
ブラウンとの2トーンの仕様(ブラウン部分は合成皮革) 写真=筆者撮影

もうひとつ、今回のハイブリッドシステム開発には理由がある、とマツダ。

「EVへと向かう時代に、エンジンを載せたハイブリッドを出したのは、ピュアEVはインフラ的に受け入れられない地域が世界には多く存在するため、そこには燃費のいいハイブリッド車などを販売し、当面“適材適所”ともいうべき姿勢で臨もうという方針ゆえです」

MX-30ロータリーEVの開発を指揮した、マツダ株式会社商品開発本部・上藤和佳子主査はそう語る。

EVとロータリーEV、ドライブで大きく違うところはあるかというと、基本的な走行はモーターで走るから、感覚的には近い。

大容量のバッテリーを床下に積むEVは低重心になって、カーブを曲がるときなど安定しているとうたわれるが、MX-30ロータリーEVだって、全高が抑えられるロータリーエンジンを使う。なのでやはり低重心が強調される。

ロータリーエンジンでバッテリー充電 マツダ「MX-30 ロータリーEV」
おとなも乗っていられる後席 写真=筆者撮影

じっさい、操縦すると、発進加速も中間加速も、モーターの大トルクでスムーズだし、ハンドルを切ったときのクルマの動きは安定しているし、乗り心地も良好と感じられる。

バッテリー容量はやや小さめに抑えられているので、当初はEV走行でも、途中から充電のためにロータリーエンジンが始動する場面に遭遇する。発電のためだけなのでシングルローターというこのエンジン、「音質にはかなり気を使いました」と、マツダ株式会社パワートレイン開発本部の川田卓二主幹は教えてくれた。

エンジン回転が上がっても、耳障りな音色はないし、そもそもかなり静か。質感の高さは、MX-30ロータリーEVの持ち味っていっていいだろう。

ロータリーエンジンでバッテリー充電 マツダ「MX-30 ロータリーEV」
「フリースタイルドア」を使うときはまず前席用ドアの開閉をしなくてはならない 写真=筆者撮影

MX-30はマツダのラインナップのなかでも異色のデザインコンセプトで、4ドアと2ドアの中間というか、後席用のやや小ぶりなドアを持ち、前席のドアをまず開けないと、後席用ドアは開けられない。

スタイリッシュな2バイ2として評価するひともいるようだし、いっぽう、小さな子どもがいる家族は、後席の子どもが勝手にドアを開けないという安全面を評価してもいいだろう。

私じしんは、3歳のとき、父が中古で買ったダットサンに乗っているとき、「勝手にやるな」という声を無視して、後席から降りようとドアを開けたら、地面に足が届かず転がり落ちた記憶がある。こっぴどく叱られました。そういう心配をしないでいいのが、MX-30なのだ。

ロータリーエンジンでバッテリー充電 マツダ「MX-30 ロータリーEV」
特別仕様車「エディションR」は黒基調のボディーにマツダ最初の乗用車であるR360クーペのルーフと同色を採用 写真=マツダ株式会社提供

ところで、今後ロータリーエンジンの採用は拡大方向なんだろうか。今回はシングルローターだけど、このエンジン、そもそも2ローターとして設計されているはずなので、それを載せた新型車も期待できるんだろうか。

「ここではお答えできないんですよ」と、前出の川田主幹は笑顔で言いつつ、ジャパンモビリティショーで話題を呼んだ、アイコニックSPというコンセプトモデルの存在を指摘。

「あのようなスポーツカーにも、ロータリーエンジンと電気モーターを組み合わせたパワートレインは、重心高を低くできるし、よく合いますよね」と含みをもたせた言い方をするのだった。期待してしまうではないか。楽しみだ。

【スペックス】
Mazda MX-30 Rotary EV
全長×全幅×全高 4395×1795×1595mm
ホイールベース 2655mm
車重 1780kg
830ccロータリーエンジン+電気モーター(プラグインハイブリッド) 前輪駆動
最高出力 53kW(エンジン)+125kW(モーター)
最大トルク 112Nm(エンジン)+260Nm(モーター)
バッテリー容量  17.8kWh
燃費 15.4km/L(WLTC)
一充電走行距離 107km
価格 423万5000円~

取材協力=マツダ株式会社

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