再生可能エネルギーの代表格である太陽光発電を巡り、全国で少なくとも138の自治体が、施設の設置を規制する条例を定めていたことがわかった。東日本大震災後、導入拡大が図られた一方で、景観の問題などから各地で住民の反発が相次ぎ、対応を迫られた自治体が、「防衛策」として独自ルールを定めた背景が浮かぶ。(加藤哲大、山下真範) 【動画】政宗まつる霊廟「瑞鳳殿」で石灯籠100基倒壊…仙台
■突然濁った川
「うちの市では、『太陽光はお断り』と受け止められても仕方がない」
岩手県遠野市の担当者は言う。同市は、既存の条例を改正し、昨年6月、全国的にも厳しい「1万平方メートル以上の太陽光発電事業は許可しない」という新ルールを設けた。背景には深刻な環境問題がある。
市内を流れる一級河川・猿ヶ石川で赤茶色の濁りが確認されたのは2019年4月。濁水は、山奥の小さな川から流れ込んでいた。その小川のそばでは18年4月、約90万平方メートルの広大な敷地で太陽光発電の建設工事が始まった。雑木林を伐採した造成地で土がむき出しになり、雨が降ると泥水が川に流れ込んでいた。
「太陽光計画は全く知らなかった。川が汚れてから住民が気づくなんて、こんなばかな話はない」。猿ヶ石川近くの柏木平地区自治会長・多田裕さん(69)は憤る。濁水は流域の水田に流入したほか、川の生態系にも影響を与えた。ヤマメの養殖が一時停止し、アユの養殖量は減ったという。
多田さんら住民側は、施工会社のNECネッツエスアイ(東京)に抗議。同社は謝罪していったん工事を中断し、泥水を受け止める調整池などの対策を講じた。だが、濁水は止まらず、同社は今年9月中に対策を完了させると約束する一方で、約10万枚の太陽光パネルの設置を進め、発電は始まった。同社は「濁水を発生させたことは誠に申し訳なく、引き続き対策を講じる」としている。
この間、市は事業者側に対して書面や口頭指導を重ね、20回以上の現地調査などを行った。市の担当者は「太陽光をすべて否定するわけではないが、大規模な施設は地元への影響が大きく、規制が必要だ」と条例改正の理由を説明する。
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