世の趨勢は「電動化」に進んでいる。10年内に純粋なエンジン車は消えてしまうとも言われているし、電動化を強制していない日本市場であってもハイブリッドが増えていることを肌で感じているユーザーは多いことだろう。
さて、エンジンというのはそれ自体のビート感はもちろんだが、各メーカーが独特の味つけをした伝統的なフィーリングというのも、ファンにとっては魅力のひとつ。電動化によってそうした感触を味わうこともできなくなると思うと一抹の寂しさを覚えるのではないだろうか。
そもそも、電動化トレンド以前に、年々きびしくなる環境対応によって独自の魅力を持つエンジンはどんどん消えていった。どれもこれもレスシリンダーであったり、ダウンサイジングターボであったりと同じようなキャラのエンジンばかりになっている印象を持っているかもしれない。
とはいえ、そうして消えてしまったかと思われていたメーカーらしい味つけのエンジンはじつは消えていなかったりする。いや、時代のニーズを満たしつつ、あまつさえ復活していたりする。
1)ボクサーサウンド
その代表として紹介したいのがスバルの不等長サウンドだ。
スバルといえばボクサー(水平対向)エンジン。そして、1990年代以前は、ドロッドッドドといった排気干渉によるボクサーサウンドがおなじみだった。それはエキゾーストマニホールド(エキマニ)の形状によるもので、具体的には各気筒から集合部までの長さが異なる「不等長エキマニ」によって生み出されるものだとされていた。
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しかし、不等長エキマニは排気効率を考えると不利なため等長タイプに変えられ、独特のボクサーサウンドは過去のものとなっていったという経緯がある。
ところが、最新のレヴォーグに搭載された「CB18」エンジンのエキマニは左右で長さの異なる不等長エキマニとなっている。これはターボチャージャーまで各シリンダーから最短距離で結ぶことにより排気エネルギーを無駄なく利用しようという狙いによるもの。ボクサーサウンドを復活させようとしたわけではないが、アイドリングなどで耳をすませば、かすかに、かつてのボクサーサウンドを感じることができる(ような気がする)。
基本的にはボクサーサウンドを消音するような排気系になっているが、スポーツマフラーに交換すると、あの「ドロッドッドッド」というスバルの伝統的サウンドを楽しむことができるのだ。
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