Wednesday, January 12, 2022

スポーツ観戦体験を3Dで再発明、ゲームエンジンUnityの狙い - ITpro

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 米Unity Technologies(ユニティ・テクノロジーズ)は2021年10月、スポーツ競技を3Dスキャンしたボリュメトリック映像を用いてコンテンツを作成し、視聴者へ配信可能なプラットフォーム「Unity Metacast」を発表した。リアルタイムに3Dデータを扱えるゲームエンジン「Unity」を提供する同社は、なぜ今ボリュメトリック映像のプラットフォームを立ち上げたのか。プラットフォームの詳細と開発の狙いを、Unity Metacastのクリエイティブ・ディレクター担当であるAdam Myhill(アダム・マイヒル)氏に聞いた。(聞き手:東 将大、内田 泰=日経クロステック/日経エレクトロニクス)

Unity Technologies クリエイティブ・ディレクター Adam Myhill(アダム・マイヒル)氏

Unity Technologies クリエイティブ・ディレクター Adam Myhill(アダム・マイヒル)氏

ビデオゲーム、映画、技術革新の世界にまたがるキャリアを持ち、テクニカル・エミー賞を受賞。複数のタイトルや長編映画のDP(Director of Photography、撮影監督)としての経験を生かし、「Cinemachine」と呼ばれる画期的なプロシージャルシネマティックシステムやゲーム内カメラシステムを開発。このシステムはUnityに不可欠なものとなっており、現在はクリエーターの力を引き出すために働いている。バーチャルカメラやプロシージャルな映画撮影、インタラクティブな観客体験に関する数多くの技術特許を保有する。(写真:Unity Technologies)

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2021年10月に発表した「Unity Metacast」とは、どのようなプラットフォームなのでしょうか。

 Unity Metacastは、スポーツ観戦体験を3Dでリアルタイムに、そしてインタラクティブなものにするプラットフォームです。従来の2Dで受動的だったスポーツ観戦体験の再発明と言えます。スポーツ業界全体があらゆる場所でファンを獲得できる、魅力的な体験を構築し、収益化できるプラットフォームを提供します。

 Unity Metacastは、ユーザーが好きなスポーツに関してまったく新しく、かつ没入感が高い体験を提供します。例えば、試合のリプレーを3Dデータとして、視聴者のモバイルデバイスに提供できるようになります。視聴者は、リプレーデータの任意の場所をドラッグした通りに再生する「スクラブ再生」をしたり、どの角度からでも見られるようにしたりできます。つまり、視聴者が時間と空間を超える力を持つようになるということです。それはスポーツ観戦の消費方法を大きく変えるでしょう。

 ターゲットユーザーは、スポーツの試合の視聴者に限りません。リーグのオーナーやコーチ、競技場の所有者、放送局など、スポーツのエコシステムに関わるすべての人になります。

Metacastを用いたモバイルデバイス向け配信アプリのイメージ

Metacastを用いたモバイルデバイス向け配信アプリのイメージ

(写真:Unity Technologies)

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Metacastは、具体的にどのようなシステムになるのでしょうか。例えば、ボリュメトリックキャプチャースタジオなどの既存の施設でキャプチャーされたデータを、ユーザーが読み取って利用できるアプリケーションを開発することは可能ですか?

 Metacastは、ボリュメトリックのデータ形式には依存しません。ほとんどのキャプチャーシステムからデータを取り込むことができ、ボリュメトリック形式の大部分をサポートします。

 取り込んだデータは、VFX(Visual Effects、視覚効果)、動的カメラ生成、ライティング、シェーダーなどの編集を可能にするUnity固有の形式に変換されます。その後、モバイルデバイスで最適に動作をする形式でストリーミングされます。

 リアルタイム3D技術であるボリュメトリックキャプチャーは、分析から審判、ファンエンゲージメント、インタラクティブな観戦体験まで、スポーツ観戦体験を大きく変えるでしょう。これは、1つのステークスホルダー集団だけでなく、業界全体に利益をもたらし、最終的にははるかに優れた消費者体験をもたらすことになります。

 さらに、スポーツの専門家やクリエーター向けのボリュメトリック映像コンテンツの作成や管理、マネタイズを可能にするクリエーターツールと付加価値サービスを提供します。私たちのビジョンは、ボリュメトリック映像コンテンツの作成・運用・消費のための、世界をリードするプラットフォームになることです。

Unity上でMetacastのボリュメトリックエディターツールを使用しているイメージ

Unity上でMetacastのボリュメトリックエディターツールを使用しているイメージ

(写真:Unity Technologies)

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総合格闘技団体のUFCと共同でアプリケーションの研究開発を行うと発表しています。なぜ総合格闘技を選んだのでしょうか。他のスポーツにも展開していくのでしょうか。

 実は、総合格闘技の競技場はMetacastの概念実証(PoC)を進めるのに最適な場所なのです。具体的には、UFCでは八角形のリングにボリュメトリックキャプチャー用カメラを安定して設置できます。競技者の安全を確保しながら、観戦者にとっても邪魔にならないようにテストできる環境を構築できます。

 概念実証が進めば、指数関数的に成長するのも時間の問題でしょう。今後、Metacastの用途は総合格闘技だけにとどまりません。私たちは既にすべての主要なスポーツの意思決定者と協議を進めています。

ボリュメトリックキャプチャーで試合をそのまま3Dデータとして記録できる

ボリュメトリックキャプチャーで試合をそのまま3Dデータとして記録できる

(写真:Unity Technologies)

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