Sunday, February 6, 2022

EVシフトへ、対応急ぐ熊本県内企業 エンジン部品大幅減も雇用維持へ 関連強化、新分野に挑戦|熊本日日新聞社 - 熊本日日新聞

misaltag.blogspot.com

 世界的に脱炭素の潮流が加速し、自動車産業ではガソリン車から電気自動車(EV)などの電動車にシフトする動きが広がっている。EVではエンジンが不要となるため、部品数が大幅に減少するとされる。熊本県内の自動車部品メーカーは、EV関連を強化したり新分野に挑戦したりするなどの対応を急いでいる。

 二輪や四輪車向けのアルミ部品を製造する九州柳河精機(菊池市)は昨年12月、EVなどに使うモーターを制御するための電子部品を入れるケースの生産を開始した。投資額は非公表だが、本社工場に遊休機械などを活用した製造ラインを新設。電機メーカーから受注し、今後も同様の製品の生産を予定しているという。

 同社が手掛けるアルミ部品はエンジン関係が多いが、7、8年前からハイブリッド車(HV)を含めた電動車向け部品の生産を強化してきた。現在は電動車関連の売上高が全体の3割程度を占める。安田八洋社長は「エンジン関連の部品が減る分は、EV関連で補っていきたい」と力を込める。

 トヨタ系自動車部品メーカーのアイシン九州キャスティング(熊本市)は、昨年10月、親会社アイシンの愛知県の工場から移管を受け、ハンドル位置を調整する「電動ステアリングコラム」の生産を始めた。主力のエンジン部品の需要減が見込まれる中、新たな製品を加えることで仕事量を維持する狙いだ。

 約6億円を投じ本社工場内にアルミ部品の加工や組み付けのための製造ラインを新設。技能員らを愛知の工場に派遣して製造ノウハウを習得した。塩田章人社長は「アイシンが開発する電動化対応の部品の生産戦略に入り込みながら、今後も必要とされる部品を勉強しながらつくっていく」と話す。

 モーターやバッテリーを組み合わせてつくるEVはガソリン車と比べると構造がシンプルで、部品数はガソリン車の約3万点から約2万点に減るとされる。このため、自動車関連以外の分野に取り組む動きも出ている。

 熊本市内のある自動車部品メーカーは、今後需要拡大が見込める半導体製造装置向け事業を強化する。今秋、新たに工作機械を導入する計画だ。同社の社長は「事業を多角化することで従業員の雇用を守りたい」という。

 欧州連合(EU)は昨年7月、2035年にガソリン車の販売を事実上禁止すると発表。米国も8月、30年に新車販売に占める電動車の割合を50%にするとした。日本は35年までに新車販売のすべてをHVを含む電動車にする目標を掲げる。調査会社の富士経済(東京)によると、EVの世界販売台数は35年に2418万台に達し、20年の11倍になる見通しだ。

 欧米勢や中国勢に対して日本の完成車メーカーは出遅れていたが、トヨタ自動車は昨年12月、EVの世界販売台数を30年に350万台にすると発表。ホンダは同年4月、40年の新車販売をEVと燃料電池車(FCV)だけにするとした。熊本に国内唯一の工場がある二輪車については数値目標を示していないが、「ビジネス向けの領域から徐々に電動化を進めていく」とする。

 経済産業省の工業統計によると、19年の県内の自動車部分品・付属品製造業の出荷額は1361億円で従業員数は4926人。地方経済総合研究所(熊本市)によると、EVが100%普及した場合、出荷額は237億円(17・4%)減少する。同研究所は「EV化で新たに必要な部品も出てくる。事業転換などの対応が不可欠だ」と指摘している。(田上一平)

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( EVシフトへ、対応急ぐ熊本県内企業 エンジン部品大幅減も雇用維持へ 関連強化、新分野に挑戦|熊本日日新聞社 - 熊本日日新聞 )
https://ift.tt/70hg3xA
Share:

0 Comments:

Post a Comment