2022年2月8日、2021年度第3四半期決算発表記者会見を行う、COOのアシュワニ・グプタ氏とCFOのスティーブン・マー氏。今回の報道は、この決算発表の前日に掲載された(写真:日産自動車)
日本経済新聞が2月7日付で、「日産がエンジン開発終了へ まずは欧州、日中も段階的に」との見出しで記事を掲載した。Webサイトでは、有料記事の扱いだが注目を集めた。
「日本車大手でエンジン開発の終了方針が明らかになるのは初めて」とも報じている。言葉尻にこだわれば、そういう表現になるのだろう。だが、すでにホンダは三部敏宏社長が2040年までに電気自動車メーカーになると宣言しており、国内においてもエンジンへの依存度が下がっていくことは明確だ。ただトヨタは、電動化を進めながら、EV化だけが電動化ではなく、多様な選択肢を残すとしてEV専業メーカーへ向かうような明言は控えめである。それでも昨年暮れのEVに関する記者会見で、力を注ぐ方向性は示している。
「エンジンがなくなる」「エンジン開発をやめる」といえば、衝撃的な記事として日本では読まれるとの判断からの記事化であろう。しかし、大手新聞社がそのような見出しで読者を誘導しようと今日なおしている様に、驚くばかりである。
EVシフトの潮流、国内外メーカーの動向
EVメーカーになると明言したスウェーデンのボルボの昨年の販売台数約70万台のうち、EVとプラグインハイブリッド車(PHEV)比率は、34%に達したという。EV比率が1%未満という国内市場動向からすれば、欧州の電動化への消費者の関心は年々高まっているといえるのではないか。
国内では、ガソリンとハイブリッド(e:HEV)を設定するが、欧州ではハイブリッドのみ展開するホンダのフィット(写真:本田技研工業)
たとえばホンダの「フィット」も国内では、ハイブリッド車(HV)とガソリンエンジン車の併売だが、欧州向けはHVのみだ。欧州で実施されている二酸化炭素(CO2)排出量規制によって、もはやエンジン車の販売は難しくなっている。したがって、日本経済新聞の記事にある日産がエンジン開発の終了をまず欧州からという見出しの書き出しは、業界人なら当然の道筋を文字にしただけだ。
一方、日産はアトキンソンサイクルとは別の機構を新たに開発することで可変圧縮比ガソリンエンジンを実用化し、昨年、日本でも公開した。まずアメリカで市販化しており、これを活用することでHV用ガソリンエンジンの燃費を大きく改善できる可能性がある。ホンダも汎用エンジンで可変圧縮比の実用化を果たしているが、クルマで活用するのは日産のみだ。
2021年9月29日、中国市場初のe-POWER搭載モデルとなる「e-POWERシルフィ」を発表した日産自動車(写真:日産自動車)
ホンダ・フィットの市場適応と同じように、欧州市場へ向けて日産はEVに加え、HVのe-POWER商品の充実も図る予定であり、それに際し、CO2排出量規制に見合う燃費性能を達成可能なガソリンエンジンの新技術とあわせて導入する公算は大きい。
からの記事と詳細 ( EVへの転換は必然、日産エンジン開発終了の真偽 | トレンド - 東洋経済オンライン )
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