Sunday, February 6, 2022

エンジンのよさを徹底的に味わわせてくれる8代目「ゴルフGTI」 - 朝日新聞デジタル

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2021年に「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」がフルモデルチェンジし、12月に日本で発売された。これはEVではないが、内燃機関(エンジン)のよさを徹底的に味わわせてくれるようなモデルだ。

政府が旗振りするEVにもよさはある。とはいえ、カール・ベンツが1886年にエンジン車を世に送り出して以来、そこから離れられないのは、理由があると思ってしまう。

今回、8代目になるゴルフGTIは、よく回るガソリンエンジンを搭載。さらに、気持ちよくカーブを曲がっていける操縦性が、より“進化”した印象が強い。加えて、インフォテイメントシステムも充実した。

エンジンのよさを徹底的に味わわせてくれる8代目「ゴルフGTI」
リアにはゴルフでなくGTIと大きく入っている

新型GTIは、ハッチバックボディに前輪駆動方式と、初代が1976年に登場して以来の“公式”を継承している。ボディサイズは全長で20ミリ、ホイールベースで15ミリ延長。2リッター4気筒ガソリンエンジンは、従来のモデルより11kW(15ps)あがった180kWの最高出力と、20Nm増えて370Nmになった最大トルクを持つ。変速機は7段のツインクラッチ式。

最大トルクはエンジン回転が1600rpmから発生するので、エンジンをガンガン回さなくても、加速性にすぐれている。もちろん、GTIだからドライビングを楽しみたいというのなら、上の回転域まで回すといい。回せば回すほど力が湧いてくる高回転型のフィールを楽しめる。快感である。

1980年代から90年代にかけて若者グルマの象徴といわれたハッチバック。昨今は、以前ほどの人気がなくなってしまったが、ゴルフ・シリーズは強い。なかでもGTIは世界的に人気が衰えていない。

エンジンのよさを徹底的に味わわせてくれる8代目「ゴルフGTI」
液晶パネルの計器盤はドライブモードによって表示(色を含む)が変わる

ゴルフGTIは、1976年に初代が登場。当時は、メルセデス・ベンツやBMWといった高性能セダンの何分の1かの価格でありながら、ドイツの自動車専用道路アウトバーンで、互角の勝負を挑める性能ぶりがおおいに評価された。

少々マニアックなことにも触れておきます。GTIが大好きという人ならご承知かもしれないけれど、新型GTIの1984ccエンジンは、従来の「ゴルフGTI パフォーマンス」と出力もトルクも共通。これも軽さがあって、いいクルマだった。

たしかに新型GTIは従来のモデルより車重が50キロ増しているが、それを補うのがハンドリング。サスペンションシステムが見直され、ステアリングはよりスポーティな設定になった。

エンジンのよさを徹底的に味わわせてくれる8代目「ゴルフGTI」
こちらもGTIの伝統にのっとって「クラークプレイド」なるタータンチェックのシート地が標準装備

とりわけ、このサスペンションシステムの制御が特筆点と私は感じた。電子制御の油圧式ディファレンシャルロックと、ESP(エレクトロニック・スタビリゼーション・プログラム)を組み合わせた「XDS(エレクトロニック・トランスバース・ディファレンシャルロック・システム)」なる機能が標準装備で、カーブをこれまで以上に速く曲がれるようになっている。

上記のESPとは、カーブを曲がっている最中、アクセルを踏みすぎたり路面で滑ったりしたとき、車両の挙動を安定させるシステム。エンジン出力をしぼったり、必要な車輪に(のみ)ブレーキをかける。

さらに、今回はオプションで「DCC(アダプティブシャシーコントロール)」というシステムも用意された。サスペンションシステムのダンパーの減衰力を、ドライバーが設定できる。

エンジンのよさを徹底的に味わわせてくれる8代目「ゴルフGTI」
GTIのオプション「DCC」ではダンパー設定が細かく選べる

新型GTIでは、ダッシュボードにそなわったモニタースクリーンで、上記のとおりダンパーの設定が「コンフォート」から「スポーツ」まで多段階で選べるのだ。実際に、かなりキャラクターが変わる。私が箱根のくねくね道を走ったときは、やはり足もとがシャキッとする「スポーツ」がよかったけれど「コンフォート」もGTIのしっかりとしたハンドリングが味わえた。

ゴルフ・シリーズで走りを楽しみたいなら、ここで紹介するGTIがいいのだが、もう1台、オススメがある。やはり12月に追加発売された2リッターディーゼル車「ゴルフTDI」だ。しっかりした足まわりと、トルクたっぷりの力強いエンジンでもって、期待以上に楽しいモデル。なので、ここで一緒に紹介しておきたい。

TDIの1968cc4気筒エンジンは「ツインドージング」なる技術の採用が注目点。ツインとあるように、SCR(Selective Catalytic Reduction=選択的触媒還元)触媒コンバーターを二つ直列にならべて、それぞれからアドブルー(尿素水溶液)を噴射して排ガス中の窒素酸化物をより効率よく窒素と水に分解するものだ。

エンジンのよさを徹底的に味わわせてくれる8代目「ゴルフGTI」
ディーゼル「TDI」も意外なほどスポーティに走る

このディーゼルエンジンのもうひとつの特徴は、360Nmと最大トルクが太く、軽くアクセルペダルを踏み込んだだけで、ぐいぐい加速していくパワフルさ。ドライバーの足とエンジンがくっついたような、TDIのエンジンのレスポンスのよさを体験していただきたい。とまで私は思うのであった。

TDIはそれでいて、燃費がリッターあたり20キロと、かなり良好。市街地はアクセルペダルをほんの少し踏むだけで加速性は十分だし、山道は楽しいし、高速では乗り心地がよいうえに、好燃費と、得点が高い。聞くところによると、私と同じタイミングで今回の2台のゴルフを試乗した自動車ジャーナリストのあいだでも、TDIはかなり評判がよかったそうだ。

新型ゴルフGTIは、モノグレードで466万円。発売は2022年1月7日。サスペンションの設定が任意で変えられるアダプティブシャシーコントロール「DCCパッケージ」は22万円のオプション。いっぽう、ゴルフTDIは「アクティブ・ベーシック」の344万4000円からで、スポーティ仕様「Rライン」の408万8000円まで。

写真=筆者

【スペックス】
車名 Volkswagen Golf GTI
全長×全幅×全高 4295×1790×1465mm
1984cc4気筒 前輪駆動
最高出力 180kW@5000~6500rpm
最大トルク 370Nm@1600~4300rpm
価格 466万円

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