Saturday, December 3, 2022

【AMG、フェラーリ、ベントレー】新しい世代に突入したダウンサイジングエンジン【九島辰也】 - Goo-net(グーネット)

misaltag.blogspot.com

文●九島辰也 写真●メルセデス・ベンツ、フェラーリ、ベントレー

 エンジンのダウンサイジングが進んでいます。これまでと名前は同じでも気筒数が減っていることがあるので、新型車が出るたびに確認しなければなりません。もちろん、それが次世代の“売り”であることは確かです。

 第一次とも言えるエンジンのダウンサイジンは過給器を使うことで行われました。例えば自然吸気のV6エンジンをターボ付きの直4エンジンにするといったような。気筒数を減らしながらパワーとトルクを向上させます。その目的は燃費。燃費をよくすることで走行中の二酸化炭素と窒素酸化物の排出量を減らすメリットを得ます。要するに環境型エンジンってことですね。この考えに基づき、V8自然吸気をV6ターボにしたり、2リッター直4自然吸気を1.5リッター直4ターボにスイッチするメーカーが増えました。クルマ自体も軽くなりますから、燃費だけでなく運動性能も向上します。

 そして最近そのトレンドは第二次へと突入しました。今度はエンジンにモーターを組み合わせることで、内燃機関のダウンサイジングを図ります。いわゆるハイブリッドですね。プラグインハイブリッドもそうですし、ドイツ勢が得意とする48Vマイルドハイブリッドなどがそれに当たります。ターボ付きの2リッター直4にモーターをつけて、V6ターボ以上のパワーとトルクを出すのですから納得です。

メルセデス・AMG C43

 先日ステアリングを握った新型メルセデスAMG C43 4MATICはまさにそんなモデルでした。ボンネット下にマウントされるのは2リッター直4ターボ+モーター(BSG搭載)で、最高出力は408馬力を発揮します。これまでは同じモデル名で3リッターV6ツンターボを搭載していましたからまさにダウンサイジング。最高出力は390馬力なので、2つのシリンダーを減らしてもお約束通りパワーはしっかり上がっています。

 しかもこのエンジンにはおまけが付きます。エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーと呼ばれるもので、F1の技術からフィードバックされました。メルセデスAMGペトロナスF1チームが関わっているってことです。具体的にはモーターが電子制御でターボチャージャーの軸を直接駆動し、コンプレッサーホイールを加速させます。つまり、低速域を機械的に動かすわけです。効率的ですね。

 さらに言えば、このエンジンは熟練のマイスターによって丹念に組み上げられたことを証明するプレートが貼られます。組んだ人のサイン入りってやつです。かつてV8エンジンで話題になりました。「One man,One engine」精神に基づきます。エンジン形式はM139型。思い起こせばメルセデスAMG A45 4AMTIC+と同じですが、あちらにはプレートは付かなかったと思われます。付いてたのか?

フェラーリ 296GTB

 こうしたエンジンのダウンサイジングはスーパーカーでも行われています。フェラーリ296GTB/GTSがそうで、ミッドシップにマウントされるのはフェラーリ製V6エンジン。ディーノ以来の6気筒となります。すごいのはパワーで、最高出力はなんと830馬力。6.5リッターV12自然吸気エンジンを積んだ812スーパーファストを上回ります。シリンダーの数は半分なのにすごいですよね。

ベントレー フライングスパー ハイブリッド

 ベントレーの新しいプラグインハイブリッドモデル、フライングスパー ハイブリッドもそうです。モーターと組み合わされるのは2.9リッターV6エンジン。これで6リッター12気筒、4リッターV8、2.9リッターV6ハイブリッドと揃いましたが、次第にV6ハイブリッドメインにシフトしていくのは明らかです。

 こうした流れは地球環境問題上、世界的なものです。言うなればSDGs的な。クルマを所有する者としてしっかり受け止めるべきでしょう。エンジンのダウンサイジングは環境ばかりではなく、お財布にもやさしいのは確かですからね。ランニングコストもそうですし、自動車税も下がります。

 ただ、最近こうしたモデルを次々に乗って感じたことがあります。それはエンジン自体の迫力。フェラーリやベントレーの12気筒やV8、C43 AMG時代のV6の荒々しさは無くなります。アクセルを踏んだ時のあの猛獣の雄叫びのようなサウンドはありません。フェラーリなどはその辺を強く意識して音作りに励んでいますが、直接比べると少し物足りないですね。まぁ、これも時代でしょう。ただ、そこにこだわりたい人は、今回のダウンサイジングのトレンドに飲み込まれないうちに、お気に入りのマルチシリンダー搭載モデルをひとつお選びいただけるといいかも。前時代的な猛獣を一匹ガレージに忍ばせるなんて男の夢です。

九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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