Saturday, May 6, 2023

純正オイルに縛られない! エンジン性能を飛躍的に上げる選択肢とは - レスポンス

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エンジンの寿命や状態を大きく左右するオイルは、少しでも良いものを入れたくなるもの。しかし、良かれと思って入れたオイルがトラブルを招いてしまうこともある。

◆エンジンごとに細かく使用オイルが定められている

エンジンオイルは内部の金属パーツを潤滑し、保護している重要なもの。オイルは金属同士が接触して摩耗してしまうのを防ぐ効果を持つ。その効果がなければあっという間に内部の金属は摩耗し、エンジンは壊れてしまう。ほかにもオイルには冷却作用で内部の温度を下げたり、金属表面を洗浄したりと多くの役割を持つ。あらゆるパーツが進化している中で、100年近く前から大きな役割は変わっていない、クラシカルで重要な部分でもある。

そこでカスタムでよく行われるのが純正品とは異なるオイルを入れること。純正よりも高級で性能の高いオイルを入れることで、エンジンの保護性能が高められたり、パワーやトルクが上がる、燃費が向上するなどの効果が見込めるのだ。

◆粘度は純正指定から変えないこと!!

純正とは異なるオイルを使うときに気をつけたいのは粘度だ。粘度とは規格で定められたオイルの硬さや流動性のこと。10W-40という表記の場合、左側の10Wとはマイナス25度の環境で性能を維持することが出来る。そして右側の40はオイルの粘度を示していて数字が大きくなるほど粘度が増す、硬くなっていく。粘度を下げればオイルをかき混ぜる抵抗が減るので、エンジンのレスポンスがよくなったり最高出力が高められることもある。レースではシャバシャバの低粘度オイルを使うことで少しでもストレートスピードを稼ごうというアプローチも見られる。

しかし、粘度が低いと油膜も切れやすく、とくに高温になると金属表面を潤滑しきれず、ダメージを及ぼしてしまうこともある。油膜の強さがイコール粘度ではないが、一般的に低粘度オイルの方が金属の保護性能は弱い傾向にある。そこでサーキット走行派の人ではエンジンを護るために純正指定よりも粘度の高い、硬いオイルを入れる人もいるのだ。オイルが硬くなる分、金属表面の保護には有利だが、オイルの撹拌抵抗は増えるのでパワーはロスする傾向にある。ならばサーキット走行派はみんな硬めのオイルにすればいいかというとそうではないのが難しいところ。オイルリターンの問題が出てくる。

エンジンオイルはオイルパンに溜まったものの一部をオイルポンプで組み上げて、ヘッドやクランクシャフトに供給して潤滑している。そこからオイルは自由落下でオイルパンに戻ってくる。これが一般的なウエットサンプ式エンジンのオイルの流れだ。ポルシェや多くのレーシングカーに使われるドライサンプと呼ばれるオイル循環方式は、内部を負圧にして強制的に全量のオイルを循環させているので、ちょっと仕組みが異なるのだ。

そして、国産車のほぼすべてがウエットサンプになるが、重要なのがオイルがきちんと戻ってくるかということ。オイルの粘度を上げるとドロドロして、なかなかオイルがオイルパンに戻って来なくなりがち。油膜を強化するために粘度を上げたのに、オイルパンにオイルが戻ってこなくなってしまい、オイルポンプがオイルを圧送できず、逆に油膜切れを起こしてしまうことがあるのだ。このトラブルは最新車両でも多い。とくに最近は純正指定オイルの粘度が燃費向上などを狙って下がってきている。そのオイル粘度に合わせたオイル量やリターン通路の設計なので、そこに良かれと思って粘度の高いオイルを入れると簡単に油膜切れを起こしてしまうことがあるのだ。

◆愛車に使える「規格」なのかも要確認!!

オイルはいくつかの規格がある。たとえばAPI規格。これはアメリカ石油協会が定めた規格で、現在はSAからSPまで13の規格がある。自動車メーカー側でも「SN規格のオイルを使用」など、使えるオイルが定められている。とくに気をつけたいのがSP規格に適合したエンジン。最近増えているダウンサイジングターボエンジンに多く使われているもので、LSPIに対応している。LSPIとは低速早期着火のことで、ようするにダウンサイジングターボエンジンで低回転からブーストを掛けたときに起きるノッキングのこと。異常に早く着火してしまうことで、エンジンが大きなダメージを食らってしまう。これはオイルに含まれている成分が原因になっていることがわかっており、そういった成分を排除したSP規格のオイルならその心配がなくなるというもの。

現在のエンジンはノックセンサーがあるので、即エンジンブローにはならないが、ノッキングを検知してパワーを絞る可能性が高い。そうなると本来のエンジン性能、燃費性能を発揮できなくなってしまうのだ。そういった意味で愛車がどのオイル規格が指定されているかをよく確認してから使用オイルを選ぶようにしたい。

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