三菱重工業(7011)は11月6日、共同開発に参画している米プラット&ホイットニー(PW)製エンジン「PW1100G-JM」の製造で生じた不具合について、200億円弱の一時費用を計上したと発表した。不具合箇所は担当していないものの、出資比率2.3%に応じた費用を負担する。一方、2023年4-9月期(24年3月期第2四半期)連結決算(IFRS)の最終利益は前年同期比69.8%増の919億4400万円となり、通期予想も据え置いた。
—記事の概要—
・地上待機を補償
・24年3月期予想
地上待機を補償
PW1100Gは、PWが中心となって開発したエアバスA320neoファミリー向けエンジン。製造工程の不具合により、高圧圧縮機のディスクと高圧タービンのディスクが点検・交換の対象部品となり、全世界では最大700台、機数換算で350機分のPW1100Gが一時的に不稼働になる。
泉澤清次社長はPWエンジン問題について、「設計も含めて我々の所掌範囲ではないので、いかんともしがたいところがある。交換などを一緒にやり、影響を極力ミニマイズしていく。今回は我々の担当部位ではないが、我々の担当部位でそういうことが起きないように品質を管理していく」と述べ、「PWが認識している費用は今回すべて引き当てた」と説明した。
小澤壽人CFO(最高財務責任者)は、第2四半期決算について「(PWエンジンの)一時損失の計上はあったものの、価格適正化や円安影響が第1四半期と同様に寄与した」と説明。今回の費用負担については「(航空会社などに)直接我々が払うわけではないが、機体が地上待機している期間の補償費用が一番大きい」と述べ、PWからの提示に基づいて負担額を計上した。
今回の一時費用の規模感について、小澤CFOは「プログラム参画時は、このような損失が発生することは正直想定していなかった。それとの比較では随分大きいなとなるが、PWでは一定の合理性のある見積をされているとは思う」と感想を述べた。現時点での負担額は見積段階であるため、今後PWと協議の上で最終的な額が決まるという。
PW1100G-JMは、エアバスA320neoファミリーに搭載するエンジンで、PWとJAEC、独MTUアエロエンジンズが設立した合弁会社IAE(インターナショナル・エアロ・エンジンズ)が主体となり、2011年から開発を開始。JAECが全体の23%を担当し、三菱重工グループの三菱重工航空エンジン(MHIAEL)が燃焼器部位の部品製造と、燃焼器モジュールの組み立てを担っている。このほか、IHI(7013)と川崎重工業(7012)も参画している。
24年3月期予想
第2四半期の受注高は55.4%増の3兆1370億円、売上高にあたる「売上収益」が10.3%増の2兆692億円、事業利益は84.1%増の1009億円、当期利益が919億円と増収増益となった。同期としては受注高と売上高は過去最高となり、事業利益と当期利益は2019年3月期から適用しているIFRS(国際財務報告基準)で過去最高になった。コスト削減の推進に加え、円安傾向が続いていることも奏功した。
2024年3月期通期の連結業績予想は据え置いた。売上収益が2023年3月期比2.3%増の4兆3000億円、事業利益が55.2%増の3000億円、純利益は45.6%増の1900億円を見込む。
セグメント別のうち、航空エンジンを含む「エナジー」は受注高1兆9000億円(前回予想は1兆7000億円)、売上収益1兆7000億円(据え置き)、事業利益1500億円(据え置き)を想定。「航空・防衛・宇宙」は受注高1兆8000億円(前回予想は1兆円)、売上収益7000億円(据え置き)、事業利益500億円(同400億円)を見込む。
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決算
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