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IHIや川崎重工業らが開発プログラムに参画する、民間航空機エンジンのトラブルの影響が拡大している。航空防衛大手の米RTX傘下の米Pratt&Whitney(プラット・アンド・ホイットニー、以下、P&W)が、欧州Airbus(エアバス)の機体「A320neo」などに提供している航空機エンジン「PW1100G-JM」において、一部部品に異物が混入し、追加点検が必要なことが判明した。
検査対象は、2015年10月~2021年9月までの約6年間で製造されたエンジンの内部部品で、約3000台。追加整備費用や顧客への補償を含め、影響額は同プログラム全体で総額約70億米ドル(約1兆500億円)に上る。
同エンジンは国際共同開発という形で開発が進められた。IHIや川崎重工などが出資しており、出資比率などに応じてコストを分配しているため、日本企業にも影響が出ている。事態発覚直後の2023年8月の段階では、同プログラムに約15%のシェアで参画するIHIは、「想定よりも点検や交換にかかるコストは削減できる」(IHI幹部)との見通しを示していた。
しかし、蓋を開けてみれば、点検台数は当初想定の1200台から約3000台に膨らみ、2023年~2026年にかけて必要な整備が当初の計画から600~700回に増加。この影響で、同社は推定で約1600億円の損失を2024年3月期の決算に計上し、最終損益は過去最大額となる900億円の赤字になる見通しだ。同じくプログラムに参画する川崎重工にも、約580億円の損失が生じる。
国内の航空会社にも影響が出ている。全日本空輸(ANA)は、点検対象のエンジンを搭載する機体「A320neo」11機と、「A321neo」22機の計33機を保有しており、この点検に伴い、2024年1月10日~3月30日の約3カ月間、1日当たり約30便を減らすことを決定した。羽田-福岡間や羽田-ソウル間などの国内線・国際線が減便の対象となる。
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