トヨタ自動車はWRC最終戦ラリージャパンにおいて、水素燃焼エンジンカートを展示した。同時に、カーボンニュートラル燃料を使用するカートも展示し、豊田スタジアムにおいてデモランを行なうことで、水素と合成燃料の2つでカーボンニュートラルを訴求していく。
水素燃焼エンジンを搭載するカートは、ヤマハ製のモトクロッサー用エンジンを転用。デンソー製の水素インジェクターに変更し、ポート噴射を水素直噴化、さらに70MPaの小型高圧水素タンクを新開発。コンパクトなエリアに、250ccクラスの水素燃焼エンジン、水素インジェクター、高圧水素タンクを搭載することに成功している。
水素カートの開発に携わったトヨタ自動車 水素エンジンプロジェクト統括 主査 伊東直昭氏によると、とくに小型の高圧水素タンクの開発には苦労したとのこと。このようにコンパクトな水素ユニットが成り立つのであれば、現在汎用エンジンが使われている分野での水素化、カーボンニュートラル化に道が開けてくる。
さらに、カーボンニュートラル燃料を使用したカートも開発。こちらは200ccの汎用エンジンを使用しており、それほどピークパワーを狙ったエンジンではないため、キャブレターセッティング(つまりキャブ車)で対応できる範囲だという。トヨタはカーボンニュートラルの道筋として、さまざまな方向性での開発を行なっているが、スーパー耐久での先端的な取り組みを、応用分野に広げてきている。
水素とカーボンニュートラル燃料車を用意したことについて、伊東氏はマルチパスウェイに沿ったものだと語り、「スーパー耐久での、32号車(水素カローラ)と28号車(カーボンニュートラル燃料GR86)の取り組みを表現したもの」であるという。
スーパー耐久での限界の取り組みがあり、技術を鍛えているからこそカートへの展開もできる。ポイントは汎用エンジンへの可能性を切り開いたことで、ラリージャパンではデモランなども行なうことでカーボンニュートラル社会の実現へ向けた訴求を行なっていく。
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