公正取引委員会は12月6日、楽天グループが運営する「楽天市場」の送料無料化施策の導入に当たり、同社が参加しない加盟店に「検索上位に表示しない」など優位な立場を利用した取引を行ったのは独占禁止法違反の可能性があるという審査結果を公表した。楽天グループが改善策を提示したため、実施状況を確認した上で審査を終了するという。
公取委によると、楽天グループは2020年3月6日以降、送料無料化施策「共通の送料込みライン」に参加しない加盟店に対し、楽天グループの営業担当者が「商品を検索上位に表示しない」「検索結果の絞り込み機能で商品を表示しない設定にする」など不利益になるような条件を示唆し、参加を促す事例があったという。
共通の送料込みラインに参加した加盟店の中にも商品代金に送料を上乗せしたところ利益が減った店舗や客離れが生じた店舗、客単価が下がった店舗があったとしている。
調査結果を受け、楽天グループはすでに状況改善に向けた対策を提示。参加不参加について加盟店の意思を尊重し、独禁法に違反する行為をしないと明記した。
楽天グループは19年8月、楽天市場で消費者が税込3980円以上の注文を行った場合に送料を一律無料化する共通の送料込みラインを発表したが、送料は加盟店持ちとなるため一部の加盟店が反発。20年2月28日には公取委が東京地方裁判所に一律導入の一時停止を求めて緊急停止命令を申し立てた。
20年3月6日には楽天グループが共通の送料込みラインの一律導入を断念し、加盟店ごとに参加/不参加を選択できるようにすると発表。これを受け公取委は緊急停止命令の申し立てを取り下げたが、状況調査は継続していた。
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