近年、日本ではいまひとつ元気がないステーションワゴンですが、かつては各メーカーから数多くラインナップされていました。とくに1989年以降は2.5リッターエンジンを搭載した魅力的なモデルが次々に登場。そこで、パワフルな2.5リッターターボエンジンを搭載した往年のステーションワゴンを、3車種ピックアップして紹介します。
ネオクラシックなパワフルワゴンを振り返る
2010年代以降、ニーズの変化から日本の自動車市場ではステーションワゴンの人気が下落し、ラインナップも激減してしまいました。
かつてステーションワゴンは1990年代から2000年代初頭にかけて数多くのモデルが販売され、ちょっとしたブームにまで発展したほどです。
さらに1989年に施行された自動車税の改定によって、2.5リッターエンジンを搭載した高性能モデルが次々に登場して市場をにぎわせていました。
そこで、パワフルな2.5リッターターボエンジンを搭載した魅力的なネオクラシックワゴンを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「ステージア 250t RS FOUR」
日産は1996年に、ステーションワゴン専用モデルである初代「ステージア」を発売。それまで輸入車が高いシェアを誇っていたLクラス・ステーションワゴン市場に参入し、スタイリッシュなフォルムと優れた走行性能から一躍ヒット作となりました。
そして、2001年には初代からキープコンセプトとして2代目が登場。ボディはより大型化かつ洗練されたフォルムへと変貌を遂げ、ステーションワゴンの王道というべきロングルーフの伸びやかなスタイリングが採用されました。
エンジンは初代の直列6気筒からV型6気筒にスイッチされ、排気量は3リッターと2.5リッターの2タイプを設定し、後に3.5リッターも加わりました。
なかでも2.5リッター車のトップグレード「250t RS FOUR」には、ステージア専用に開発された最高出力280馬力を誇る2.5リッターV型6気筒ターボ「VQ25DET型」エンジンを搭載。トランスミッションは5速ATのみで、スロットル開度コントロール機能を加えた「スノーシンクロモード付アテーサE-TS」フルタイム4WDシステムが組み合わされました。
さらに、足まわりは4輪マルチリンクでリアはステージア用に新開発され、コーナリング性能を高める4輪操舵システム「電動SUPER HICAS」を搭載した「250t RS FOUR V/HICAS」がラインナップされるなど、大柄なボディサイズながら運動性能を重視していました。
しかし、2007年には販売低迷からステージアは生産終了となり、2代目にして歴史に幕を下ろしました。
●三菱「レグナム VR-4」
かつて三菱のミドルクラスのモデルで主力だった「ギャラン」は1987年発売の6代目で、高性能4WDセダンの「VR-4」をラインナップし、大きな転換期を迎えました。
そして、VR-4は1996年に登場した8代目にも引き継がれ、さらに同時にデビューしたステーションワゴンの兄弟車「レグナム」にも設定されました。
レグナムの外観は8代目ギャランと同様の精悍な逆スラントノーズのフロントフェイスと、伸びやかなロングルーフのキャビンが特徴でした。
トップグレードのVR-4には、最高出力280馬力(MT)を発揮する2.5リッターV型6気筒ツインターボエンジンを搭載。
トランスミッションは5速MTと5速AT(VR-4 タイプS)を設定し、駆動方式は左右後輪の駆動力配分を電子制御して旋回性能を高める「AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)」を装備したフルタイム4WDが採用されました。
また、高い路面追従性を誇る4輪マルチリンクのサスペンションも相まって、優れた運動性能を発揮。
そして1998年には、専用のエアロパーツ、ラリーアート製スポーツマフラー、ハイグリップタイヤ、MOMO製本革巻ステアリングホイール、レカロ製シートなどが装備された、よりスポーティな「レグナム スーパーVR-4」が加わりました。
レグナムは8代目ギャランと同じく量産車で世界初の直噴ガソリンエンジンを搭載していたことも大きなトピックスでした。
しかし、経営状態の悪化とステーションワゴン人気の下落も始まったことが重なり、レグナムは2002年に生産を終了。後継車は無く、一代限りで消滅してしまいました。
●スバル「S402」
前述にあるステーションワゴン人気急上昇のきっかけとなったのは、1989年に発売されたスバル初代「レガシィ ツーリングワゴン」です。
高性能なエンジンとフルタイム4WDシステムを組み合わせ、スタイリッシュなボディと優れたユーティリティから大ヒットを記録し、ブームの火付け役となりました。
その後もレガシィ ツーリングワゴンはコンセプトをキープしたまま代を重ね、2003年に4代目が登場。外観はそれまでのイメージを一新して流麗なフォルムとなり、シリーズ初の3ナンバー専用ボディと、等長エキゾーストマニホールドの採用で「ボクサーサウンド」ではなくなったことも話題となりました。
一方で、従来のモデルと同じく上位グレードにはパワフルなターボエンジン+フルタイム4WDというパワートレインは変わらず、さらに2008年には、高度にチューニングされたコンパクトカーの「S402」が発売されました。
S402は「究極のグランドツーリングカー」をコンセプトに、スバルテクニカインターナショナル(STI)によって開発され、セダンとワゴンをラインナップ。
エンジンは海外仕様のレガシィに搭載された2.5リッター水平対向4気筒ターボ「EJ25型」をベースに、専用のツインスクロールターボ、ECU、排気システムを導入し、最高出力285馬力を発揮。組み合わされたトランスミッションは6速MTのみです。
また、ドライカーボン製フロントアンダースポイラーやBBS製鍛造18インチホイール、4本出しマフラーなどが装着され、20mm拡幅したフロントフェンダーにエアアウトレットを設置するなど、スポーティかつ迫力ある外観を演出。
ほかにもビルシュタイン製ダンパー、ピロボール式のリアサスペンションリンク、フレキシブルタワーバー、ブレンボ製フロント対向6ピストンキャリパー/リア対向2ピストンキャリパー、さらにクイックレシオのステアリングギアボックスを採用するなど、STIが培ったノウハウを生かし、エンジンとシャシのバランスを重視したチューニングが施されていました。
S402はセダンとワゴンを合わせて限定402台で販売され、価格(消費税5%込)はセダンが535万5000円、ワゴンが549万1500円とかなり高額でしたが、即完売となりました。
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日本ではステーションワゴンのラインナップが激減してしまいましたが、現在もステーションワゴンは欧州で高い人気を維持しており、輸入車ではラインナップも豊富です。
しかし、近年は欧州でもSUVのシェアが拡大しており、ステーションワゴンのシェアが奪われています。
ステーションワゴンはセダンに匹敵する走行性能と使い勝手の良さを両立した優れたクルマといえますが、今後のEVシフトにおいてSUVの方がスペース効率の高さから有利で、将来的に欧州でもステーションワゴンの減少が懸念されます。
からの記事と詳細 ( パワフルなエンジンでデザインも超絶イケてる! 2.5ターボのネオクラシックワゴン3選 - くるまのニュース )
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