Saturday, April 30, 2022

「エンジン止まり自力航行できない」の通報、乗客の携帯から…3日前届け出の携帯が圏外か - 読売新聞オンライン

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 北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、事故当日に同船から発信された118番が、乗客の携帯電話からかけられていたことが30日、捜査関係者への取材でわかった。運航会社「知床遊覧船」は、船舶安全法に基づき、陸上との通信手段に携帯電話を申請していたが、電波が圏外だった可能性があり、国土交通省は安全管理体制に不備がなかったか調べている。

 捜査関係者によると、最初の118番は4月23日午後1時13分頃、北海道斜里町の別の観光船会社からあり、約5分後にカズワンからも「エンジンが止まり、自力航行できない」と通報があった。

 船舶安全法は、陸上と常時つながる連絡手段として、衛星電話か携帯電話、無線のいずれかの使用を義務付けており、知床遊覧船は携帯を申請していた。

 しかし、カズワンからの118番の発信元は申請とは別の携帯電話会社の番号で、乗客の男性のものだった。通報内容に船の故障部分や乗客の人数などが含まれ、乗員が借りてかけたとみられる。

 国交省によると、同社が申請していた携帯は、カズワンの航路上に通話エリア外の地域があり、電波が圏外だった可能性がある。

 一方で、国のチェック体制の甘さも浮かんだ。

 知床遊覧船は、元々、衛星電話を連絡手段として届けていたが、事故3日前の4月20日に携帯電話に変更。国の代行で検査を行う「日本小型船舶検査機構」の検査員が認めていた。

 検査員は航路に通話エリア外の地域があると認識していたが、豊田徳幸船長(54)から「海上でもつながる」と言われたほか、地元の漁業者からも使用可能と聞き、申請を認めたという。

 国交省は、検査員の対応が適切だったかを検証する方針。

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