Sunday, September 18, 2022

「エンジンブロー回避」にもっとも役立つのはコレ!【TOYOTA GR86 長期レポート18_AE86~GR86への道】 - MotorFan[モーターファン]

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油圧低下はエンジンへ重大なダメージを引き起こす。では、エンジンを壊さずに長く愛車を楽しむために重要なことは? 以前にお伝えしたが憶えているだろうか。温度管理と、そう油圧の監視だ。今回から全3回でお届けする油圧計取り付け編その1。

TEXT&PHOTOS 加茂 新(KAMO Arata)

良いパフォーマンスを発揮したい! もちろん壊さずに、という諸兄! 重要なのは「現状把握」だぞ 【TOYOTA GR86 長期レポート16_AE86~GR86への道】

GR86のように走って楽しいクルマを所有している読者の皆さまのなかには、サーキットで勢いよく…

エンジンオイルを送り込む圧力=油圧

エンジンは各部が摩耗しないようにオイルによって潤滑されている。とくにクランクシャフトやカムシャフトはメタル支持という方法で、オイルが油圧で供給されている中にシャフトが浮いているのだ。
浮いているからシャフトがメタルと接触しない。エンジンが停止しているときは接触するが、エンジンがかかれば浮く。それによって摩耗しにくいというわけ。

もちろん、油圧がある程度かかっていないと浮いていられない。油圧が下がるとシャフトが落ちてきてしまうので、地面(メタル)と当たってしまいダメージを与える。これが繰り返されるとメタルが摩耗して焼きついてしまう。そしてメタルブローというもっとも多いエンジンブローが起こる。

それを防ぐにはどうしたらいいか。そう。常に油圧がかかっていること。それが大切なのだ。
高性能なオイルは油圧が低下したときにも、メタルとシャフトを摩耗しにくく守ってくれるが、そもそも油圧が落ちなければもっと良い。

エンジンブローは「蓄積」

そもそも油圧はエンジンの回転によって回されるオイルポンプが圧力を発生させている。なので、基本的にエンジン回転が高いときのほうが油圧も高い。一定以上に油圧が上がらないようになっているので無限に上がるわけではないが基本的に回転数に比例する。
ということはアイドリング時は油圧が低い。イコール、アイドリングはエンジンに厳しいということを憶えておいてほしい。とくに長時間になると油圧が低い状況が続くので、メタルがフローティングしにくくなる。

そして、もうひとつ油圧が落ちやすいのがサーキットだ。正確にはサーキットというよりも強い前後左右へのGが起きる状況。

オイルパンに溜まったオイルを吸い上げて循環させているが、強いGが起きるとオイルが偏ってしまう。すると一時的にオイルが吸い上げられなくなり、油圧が下がってしまうのだ。

これはオイルパンの設計やオイルを吸う口の設計によっても起きたり起きなかったりする。また、そもそもオイルの量が少ないと起きやすいから、この車種では多めにオイルを入れたほうがいいとかそういったこともある。
ちなみにこの油圧低下によるエンジンブローは、蓄積によって起こる。低下した瞬間に壊れるわけではない。何回もサーキット走って大丈夫だったけど、なぜか今回突然壊れてしまった、ということにつながるのである。

だからこそ油圧のモニターは保険になる

表示方法はいろいろ選べるマルチメーターFD。回転信号を接続すれば、上のバーグラフが光ってシフトタイミングランプにもなる。

そこで油圧計である。これで油圧が適正にかかっているかをモニターするのである。

「自分はサーキットは走らないのでいらない」という人はそれでいいが、油圧はいつ低下するかわからない。サーキットでも起きるし、街乗りでも起きる可能性はある。いつ起きるかわからなくて、それが起きてしまったらエンジンブローに直結してしまうので見ておくことが大事なのである。

新車を購入してサーキットも走らず、チューニングもせずメインテナンスもディーラーでお願いしているフルノーマルであれば、壊れたら新車保証で直る。油圧計なぞ見ずに使って壊れたら直してもらえばいいので、普通に乗っていてOKでもある。
しかし、サーキットを走りたいとか、チューニングしたいとか、新車保証がないクルマに乗っているとかであれば、悪いことは言わないので油圧計の装着をオススメする。

プロのスピードではない ≠ 必要ない

あと「自分はサーキットでも速く走らないのでいらない」という人も多い。これも大きな勘違い。プロのスピードでなくても充分にオイルの片寄りは起こり得る。最大Gはプロといってもアマチュアの2倍も3倍も出るわけではない。アマチュアでも充分油圧低下は起こるのだ。

そういった「もしも」のときにエンジンを壊さないための保険が油圧計なのである。

ちなみにサーキットで油圧が落ちるときはだいたいコーナーで強い横Gが掛かっているときなので、油圧計を凝視するのは結構難しい。よって、これから装着するならば、できれば油圧が低下したときにアラートがなるモデルが好ましい。
油圧が上がりすぎることはあまりなく、起きるとしたら低下なので、油圧がいくつを下回るとピーピー鳴るやつがいいぞ。

ピコピコ鳴ることのメリット

表示方法はいろいろ選べるマルチメーターFD。回転信号を接続すれば、上のバーグラフが光ってシフトタイミングランプにもなる。

そこで今回油圧計にはDefi(デフィ)のFDを選んだ。デフィは純正メーターを製造している日本精機のスポーツメーター部門。そのクオリティの高さには定評がある。これまでのマルチメーターがリニューアルしてFDという新モデルになった。タイミング良く発売になったので早速注文をしたのだ。

デフィのメーターの特徴はその機能性の良さにある。以前からいろいろな数値に上限だけでなく、下限のワーニングもかけられるのが特徴。
水温でも例えば110℃になったらワーニングが鳴るのは普通だが、45℃とか50℃まで下限のワーニングもかけられる、ということ。

この機能を使えば、エンジンが温まるまではピコピコ鳴っているので、ゆっくり走って暖気しようとかいろいろな使い方ができる。もちろん油圧が下がったときのワーニングもかけられる。

「つけてみようかな、でも金額は?」

ここまで読んでいただくと気になるのはお値段だろう。
今回加茂号に選んだFDは、税込で4万700円。加えてアドバンスコントロールユニット(1万6698円)と圧力センサー(1万6698円/金額はともに税込)が必要となり、合計すると約7万3000円ほど必要となる。サラッと書いているが、なかなかダメージはデカい。
結構な出費になってはしまうが、このアドバンスコントロールユニットは7つまでのメーターを動かすことができるという素晴らしいメリットがあるのだ。

アナログメーターを追加したりFDをさらに追加したときにも、追加センサーからアドバンスコントロールユニットにケーブルを差す、新規追加メーターはすでに付いているメーターに線を差す、これだけで動かせるので面倒な電源の追加の必要がなく、簡単に拡張できるのだ。

FDは高価だが、都度追加費用がかかることを考えると、その価値は充分にあると言えるだろう。さぁ、実際に装着していくぞ。装着詳細は次回!

加茂のクルマ近影。うむ、今日も男前である。中身も外見もどんどん男前になっていくぜ。

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