空気取り入れ口を背負い式にした理由とは…
航空機が搭載するジェットエンジンは、空気に燃料を噴射し、その混合気を燃焼させることで推進力を生み出しているため、胴体内に組み入れる場合は、機体のどこかに空気取り入れ口を開ける必要があります。 【写真】脱出時は恐怖かも 頭上に開いた空気取り入れ口 理想は機首に開口部を設けることで、初期のジェット戦闘機などはその形状でした。そののち、機首にレーダーを装備するようになると、機体下部や機体側面に設けられるようになります。そうしたなか、あえて空気取り入れ口を機体上部に設けたのが、ノースアメリカンF-107試作戦闘機です。 もともとF-107は、F-100「スーパーセイバー」戦闘機の改良発展型として、マッハ2以上の超音速で飛べ、なおかつ核爆弾も搭載可能な戦闘爆撃機として計画されました。計画にはレーダーの搭載も含まれていましたが、F-100は機首に空気取り入れ口を設けていたため、これを機体のどこかに移設する必要に迫られます。 そこで、まずは機体下部に空気取り入れ口を配置することが検討されますが、この場合、空気取り入れ口の周りから出る衝撃波が、投下した爆弾と干渉して落下の軌道を狂わせる恐れが出てきました。 狙った場所に爆弾が投下できないのは問題です。それならば衝撃波の干渉が生じない場所に空気取り入れ口を設けようといろいろ検討した結果、胴体上部になりました。 こうして特徴的な外観のF-107ができあがったのですが、アメリカ空軍はF-107を採用せず、対抗馬であったリパブリックのF-105「サンダーチーフ」戦闘爆撃機を採用しました。
安全性の問題? 手堅い設計のライバル機に敗北
F-105は胴体側面の主翼付け根に空気取り入れ口を持ち、胴体下部に爆弾倉のある手堅い設計の戦闘爆撃機でした。初飛行もF-107より早く1955(昭和30)年10月22日に行っています。ちなみにF-107の初飛行はそれから約1年後の1956(昭和31)年9月10日でした。 F-107は初飛行に成功したため、一応F-105と比較審査が行われたものの、もともとアメリカ空軍としてはF-105を本命視しており、F-107については保険の意味合いで、とりあえず開発させたようなものでした。 そのため、F-105が開発自体も滞りなく進んだことで、F-107が採用される可能性はなくなり、同機は試作機が3機作られただけで終わりました。 しかしF-107も決して性能が悪いわけではなかったことから、試験終了後の1957(昭和32)年11月に、NACA(アメリカ航空諮問委員会)へ移管され、高速飛行試験機として使われています。 なお、F-107はF-100「スーパーセイバー」の改良発展型として計画されたため、非公式に「ウルトラセイバー」という愛称が付けられています。しかし、正式採用されずに終わったため、メーカーやアメリカ空軍ではこの愛称は用いられていません。 F-107以降、アメリカ製の戦闘機で機体上部に空気取り入れ口のある機体は誕生していません。おそらく射出座席の構造上、空気取り入れ口は機体下部もしくは側面でないと安全性が保たれないのだと筆者(柘植優介:乗りものライター)は思います。 F-107のようなデザインは、まさにジェット戦闘機の過渡期だったからこそ生まれたものといえるのかもしれません。 ※一部修正しました(6月26日9時13分)。
柘植優介(乗りものライター)
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June 26, 2020 at 04:30AM
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