2020年11月18日に行われた、株式会社日本製鋼所2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社日本製鋼所 代表取締役社長 宮内直孝 氏
宮内直孝氏:本日はお忙しい中、当社説明会に多数のご参加をいただき誠にありがとうございます。また平素より当社をご支援いただき、この場をお借りして感謝申し上げます。本日は2021年3月期の第2四半期実績、2021年3月期の通期計画、中期経営計画「JGP2020」と事業概況の順にご説明いたします。
まず第2四半期実績です。資料の5ページをご覧ください。こちらは2021年3月期第2四半期実績の概要です。受注高は前年同期比で343億円減の785億円、売上高は161億円減の901億円となりました。営業利益は64億円減の47億円、経常利益は71億円減の50億円、純利益は17億円減の35億円となりました。
2021年3月期 第2四半期:営業利益増減要因
続いて6ページをご覧ください。こちらのグラフは前年同期と比較した営業利益の増減要因を示しています。第2四半期は前年同期比64億円の減益となりました。要因としては、変動費は8億円改善しましたが、景気減速による生産・売上・代価の悪化が49億円、今期の特殊要因である素形材・エンジニアリング事業の再構築に伴う退職給付引当金の計上による悪化が16億円、配分不能の悪化が7億円あり、営業利益は47億円となりました。
2021年3月期 第2四半期:セグメント別
続いて7ページをご覧ください。こちらはセグメント別の状況です。産業機械事業につきましては、受注高は前年同期比262億円減の603億円、売上高は141億円減の731億円、営業利益は25億円減の82億円となりました。素形材・エンジニアリング事業につきましては、受注高は前年同期比82億円減の167億円、売上高は15億円減の159億円、営業利益は14億円減の2億円となりました。
2021年3月期 第2四半期:産業機械事業
続いて8ページをご覧ください。こちらは産業機械事業の詳細です。売上高は成形機の不振が影響し、前年同期比で141億円減少し731億円となりました。受注高は、前年同期比262億円減の603億円となりました。営業利益は、前年同期比25億円減の82億円となりました。
2021年3月期 第2四半期:素形材・エンジニアリング事業
続いて9ページをご覧ください。こちらは素形材・エンジニアリング事業の詳細です。売上高はエンジニアリング他の減少により、前年同期比15億円減の159億円となりました。受注高につきましてはクラッド鋼板・鋼管の影響で、前年同期比82億円減の167億円となりました。以上が第2四半期実績の状況になります。
2021年3月期:受注高・売上高・利益の計画
続きまして通期計画のご説明に移ります。11ページをご覧ください。こちらは2021年3月期通期業績予想の概要です。受注・売上・利益とも前年比で減少していますが、前回予想から上方修正しました。受注高は前回予想より70億円増の2,050億円、売上高は50億円増の1,950億円、営業利益は30億円増の100億円を計画しています。配当金につきましては、年間35円を予定しております。
2021年3月期:営業利益増減要因
続いて12ページをご覧ください。こちらは前年と比較した営業利益の増減要因です。今期は前年比87億円減益の見込みです。要因は変動費19億円、固定費が1億円改善する一方、生産・売上・代価が77億円、退職給付引当金が16億円、配分不能他が14億円悪化し、今期の営業利益は100億円を計画しています。
2021年3月期:セグメント別
続いて13ページをご覧ください。こちらはセグメント別の状況です。両セグメントとも前年比で減収減益ですが、産業機械事業につきましては前回予想より受注高は60億円増の1,530億円、売上高は50億円増の1,520億円、営業利益は35億円増の150億円を計画しています。素形材・エンジニアリング事業につきましては、前回予想と同じ受注高485億円、売上高400億円、営業利益は15億円を計画しています。
2021年3月期:産業機械事業
14ページをご覧ください。こちらは産業機械事業の詳細です。売上高は成形機の不振により、前年比194億円減の1,520億円、受注高は前年比96億円減の1,530億円、営業利益は前年比42億円減の150億円を計画しています。いずれも前年比マイナスではありますが、前回予想から上方修正をしています。
2021年3月期:素形材・エンジニアリング事業
続いて15ページをご覧ください。こちらは素形材・エンジニアリング事業の詳細です。売上高は前年比28億円減の400億円、受注高は前年比23億円増の485億円を計画しています。
2021年3月期:設備投資・減価償却費、キャッシュ・フロー、財務体質、研究開発費の状況
続いて16ページをご覧ください。こちらは設備投資・減価償却費や財務体質等の推移です。左上のグラフは設備投資・減価償却費の状況を示しています。設備投資は、前年比35億円増の140億円を計画しています。左下のグラフはキャッシュ・フローです。フリー・キャッシュ・フローは前年比47億円減の10億円を計画しています。右下のグラフは研究開発費です。研究開発費は50億円を計画しています。
受注残高の推移
17ページをご覧ください。こちらは受注残高の推移を示しています。今期末の受注残高は1,878億円を計画しています。以上が、今期の業績予想のご説明になります。
中期経営計画「JGP2020」と2030年のありたい姿
続きまして中期経営計画「JGP2020」と事業概況のご説明に移ります。19ページをご覧ください。19.3期よりスタートしました中期経営計画「JGP2020」は、産業機械事業は「攻めの経営」による成長。素形材・エンジニアリング事業は安定した黒字化を目指す「新生」をキーワードに活動を進め、2030を見据えた基盤づくりを行ってまいりました。
JGP2020 3つの基本方針(重点課題)
20ページをご覧ください。ここでは中期経営計画の3つの大きな基本方針と、21.3期第2四半期までの成果をご説明いたします。経営資源の最適化とアライアンスの強化では、産業機械事業で事業拡大に向けたジーエムエンジニアリングの子会社化、ニチユマシナリーのM&Aとその吸収合併、名機製作所の吸収合併を実施しました。
また素形材・エンジニアリング事業では一体化し、ベクトルを合わせ安定黒字化を推進するため事業を分社化しました。そして月島機械との協業、JX金属との合弁会社設立を行いました。アフターサービス強化では、広島製作所の専用工場の建設や欧州の部品センターを設置するなど、高いレベルでのサービスの提供を進めていきます。
新事業探索、育成の活性化では5分野についてそれぞれ推進室を立ち上げ、早期事業化を進めています。これらの3つの基本方針については、次期中期経営計画においても引き続き重点方針として活動を進めていくつもりです。なお、2021年度をスタートとする次期中期経営計画につきましては、現在策定中であります。
産業機械事業 主要製品の今期受注概況
21ページです。ここでは主要製品の景況感についてご説明します。まずフィルム・シート製造装置ですが、コロナウイルスの影響により悪化した市況は徐々に回復しております。特に、中国で2035年に新車販売のすべてをEV車とハイブリッド車にする等、各国が環境対応車の優遇を進めていることもあり、セパレータ用途を中心に市場回復に強さが見られます。
造粒機につきましては、引き続き中国を中心に堅調であります。二軸混練押出機はいまだ不透明な受注環境にありますが、徐々に引き合いは増えております。FPD装置については、中国を中心にスマートフォン需要は徐々に回復してきておりますが、FPD装置市場の回復は来期以降になると見込んでいます。アフターサービスは第1四半期を底に回復を見込んでいます。
素形材・エンジニアリング事業 主要製品の今期受注概況
22ページは素形材・エンジニアリング事業についてです。鋳鍛鋼品はコロナウイルスの影響により、市況はいまだ厳しさが続いています。クラッド鋼板・鋼管については昨年を上回る受注を見込んでいますが、原油価格下落の影響による天然ガスプロジェクトの遅れなどで、受注が翌期にずれる懸念があります。エンジニアリング他は引き続き不透明な状況にありますが、プラント改修工事は堅調に推移しております。
フィルム・シート製造装置
23ページからは主要製品についてもう少し詳しくご説明いたします。まずフィルム・シート製造装置です。スライドのグラフをご覧ください。EV車の生産台数予想を、政策ベースと市場ベースで示したものです。2025年で約3倍の開きがありますが、この範囲の中で伸長していくものと考えています。
当社ではすでに生産能力を増強しています。今後はますます重要となる製品の高品質化に向け、お客さまとともに設備の高性能化を進めてまいります。またセパレータフィルム用の装置もすでに多く納入していますので、アフターサービス事業にも力を入れてまいります。
成形機
24ページは成形機です。国内市場は自動車分野が落ち込み、日用品や雑貨分野が中心であった市場に第3四半期以降は自動車分野が加わり、さらに回復してくると見込んでおります。海外市場は地域によって回復に違いはありますが、中国・台湾、そしてASEANの一部は堅調となってきており、今後は北米、そして欧州の順に回復してくるものと見込んでおります。
当社は市場の回復を見込み、日用品・雑貨分野の取り込みを強化するとともに、第3四半期以降に回復が見込まれる自動車分野をターゲットに大型機の新シリーズの投入、超大型2プラテン機のシリーズ化、大型マグネシウム成形機の投入等を進めてまいります。また中国・米国で現地生産の能力を拡大してまいります。
アフターサービス
25ページはアフターサービスです。アフターサービスは市況に左右されにくい安定した事業であり、高い収益力が見込まれます。当社の機械は使用年数が長く、機械本体の納入累積台数に比例して売上が伸長いたしますが、高いサービスレベルの提供やソリューション提供・提案、そしてリモート対応の充実等のさまざまな施策により、さらに売上アップを図ってまいります。
素形材・エンジニアリング事業「新生」への取組み
26ページは素形材・エンジニアリング事業についてです。鋳鍛鋼品、クラッド製品にエンジニアリング・サービスを加えて3つの柱で事業展開を進めてまいります。次のスライドではエンジニアリング・サービス事業について具体的な内容をご説明いたします。
エンジニアリングサービス
エンジニアリング・サービス事業には、石油化学プラントのメンテナンス、一般的な非破壊検査から最新手法でのプラント設備への幅広い検査サービス、建設・土木・緑化工事などの総合建設、さまざまな分野での溶接構造物の製造があります。
これまでのノウハウを蓄積してきた設計・製作・施工から検査・保守・点検までさまざまな技術を集約し、他社に真似のできないエンジニアリング・サービスを提供し、事業拡大を図ってまいります。
新事業探索・育成 5分野における取組み
28ページは新事業についてです。フォトニクス、金属材料、航空機、機能材料、水素の5分野について推進室を立ち上げ事業化を推進しております。この中で今回はフォトニクス事業について説明いたします。
フォトニクス(結晶)事業について
29ページをご覧ください。当社は人工水晶原石の製造、それを使ったローパスフィルタ関連製品を手掛けています。今後拡大が見込まれる5Gの通信関連、パワーエレクトロニクス関連製品に対応する光電子材料や半導体化合物材料分野の素材開発の展開を進めています。1つ目は東北大学・三菱ケミカルと共同で、窒化ガリウム単結晶基板の量産法を開発しました。
今後は市場供給に向け、三菱ケミカルと協業で大型の単結晶基板の実証を進めてまいります。また水晶・ニオブ酸リチウム結晶については現在、国内と中国の生産体制の確立を推進中です。以上が本日の内容となります。ご清聴いただきありがとうございました。
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