Saturday, August 20, 2022

近江・山田がベンチでこぼした「エンジンがかからない」…狂った制球と失われたキレ - 読売新聞オンライン

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 全国高校野球選手権大会の準決勝が20日行われ、22日に予定されている決勝は、仙台育英(宮城)と下関国際(山口)が、いずれも初優勝をかけて対戦することになった。仙台育英が優勝すれば東北勢として春夏を通じて初の甲子園制覇となり、下関国際は山口県勢として1958年の柳井以来の優勝を狙う。仙台育英は序盤に一気に畳みかける攻撃をみせ、聖光学院(福島)との東北対決を制した。下関国際は8安打で8点とソツのない攻撃で、近江(滋賀)に快勝した。

 下関国際は六回、森が勝ち越しの2点二塁打を放つと、八回に連続スクイズをみせるなど終盤に突き放した。近江は三回に清谷、山田の適時打で同点としたが、下関国際の仲井を打ち崩せなかった。

 夢破れた。それでも近江のエースで4番の山田の表情はどこか吹っ切れていた。「優勝を目指していたからこそ悔しい思いはあるが、ベスト4は素晴らしい成績であることには変わりない。胸を張っていこう」。主将として懸命に前を向いた。

 不穏な空気は立ち上がりに生まれた。一回、下関国際の先頭・赤瀬の遊ゴロを津田が悪送球。いきなり二塁に走者を置いた。一死後、3番仲井を追い込みながら、攻めた真っすぐが甘く入った。左前に打ち返され、「これが一番痛かった」と振り返った。試合前まで4試合で512球。コンディション不良を否定したが、制球は微妙に狂い、直球のキレもなかった。

 「山田は『エンジンがなかなか、かからない』とベンチで言っていた」と多賀監督。走者を毎回背負い、六回には先頭から2連続四球。球数は100球を超え、さらに2点を失った。追い込まれるとギアが上がるのが山田だ。なおも続く一死二、三塁のピンチは、2連続空振り三振に仕留めた。

 6回2/3、5失点で降板したが、昨夏からの甲子園3大会でチームを2度の4強と準優勝に導いた。「これだけたくさんやらせてもらえて。これ以上ないぐらい楽しませてもらった」と山田。継投を重視する時代に生まれた大会屈指のエースが、鮮烈な印象を残して甲子園を去った。(上田真央)

 近江は、鳴門(徳島)との1回戦後に体調不良で選手登録を外れていた横田が復帰した。五回から遊撃の守備につき、得点圏に走者を置いた五、七回の打席でいずれも凡退。「勝ち上がってくれた先輩たちにいいプレーで(恩を)返そうと思ったが、結果を出せずに申し訳ない」と涙が止まらなかった。1年生夏から3大会連続で大舞台を経験した2年生は、「この悔しさを来年に生かしたい」と前を向いた。

  近江・多賀監督 「山田がしんどい時に打って、どれだけカバーできるか。(目標の優勝を逃し)そこは一つ足りなかった部分」

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