Wednesday, August 31, 2022

不動車エンジンの再始動時は「手順を踏んで」ダメージを与えない!! - Webike Plus

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もはや絶滅危惧種と呼ばれている2ストロークエンジン搭載モデル。なかでも80年代前半以前に登場したモデルには、大排気量から小排気量まで、数多くの2ストロークエンジンが搭載されていた。今なお熱狂的なファンを持つことで知られる2ストロークモデルだが、不動エンジンの復活再生時には、決して間違えてはいけない作業手順がある。いきなり「エンジン始動に取り掛かってはいけない!!」ことだけは、まずは知っておきたいものだ。ここでは、2ストロークエンジンの始動に関する段取り手順を再確認しておこう。

スパークプラグを外して空キック数発

エンジン始動に取り掛かる前に、プラグに火花が飛んでいるか?スパークプラグを取り外してヘッドに押し付け、キックしてみよう。力強い火花がバチバチッと飛んでいたがしかし、なにやら変な雰囲気………。

ガソリンに25対1程度でオイルを混ぜよう

メンテナンス時にはタンク内のガソリンではなく、通称「メンテナンス用点滴タンク」で作業進行するのが良い。2ストロークエンジンの場合は、25対1の割合で混合ガソリンを作ろう。オイルポンプが働いていないと、エンジン始動によってシリンダーやクランクベアリングにダメージを与えてしまうからだ。2ストオイルにはスーパーゾイルの2サイクル用を使った。昔ながらの赤色オイルなのに、現代的な高性能オイルなのが大きな魅力だ。 エンジン始動に取り掛かる前に混合ガソリンを準備しよう。

キャブを外して空キックを数発すると……

スパークプラグを取り外して空キックを何発か踏み込んだら、プラグ穴から間欠泉の如くエンジンオイルが噴出した。この段階でオイルタンクからクランク室へエンジンオイルが落下していることに気が付いた。そこでカバーを外してキャブ本体を取り外すと、吸入ポートからエンジンオイルが流れ出てきた。この異変に気が付かずエンジン始動を試みていたら、ウォーターハンマー現象で、多大なエンジントラブルに至ったことだろう。

ここまで来たらエンジン始動にトライ!!


シリンダーヘッド、シリンダーの順でエンジン腰上を分解して、シリンジでクランク室内に溜まったエンジンオイルを抜き取った。その後、クランク室内を混合ガソリンで洗浄してから再度シリンジで抜き取り、エンジン腰上を復元。それからトラブル原因と思われるチェックバルブを洗浄して、オイルライン+チェックバルブ機能をしっかり確認。その後、エンジン始動に取り掛かったが、キック数発でエンジン始動できた。何も考えずに作業進行していたと思うと、背筋がゾッとする思いだった。

POINT

  • ポイント1・いきなりガソリン給油してエンジン始動してはいけない!!
  • ポイント2・一次圧縮室=クランク室へのオイル落下に要注意
  • ポイント3・空キックの作動で現状コンディションを知ろう

2ストロークエンジンで分離給油=オイルポンプ付きエンジンの場合は、オイルポンプからインマニやシリンダーへつながるオイルラインの途中に、エンジンオイルの自然落下を防ぐチェックバルブが装備されている。この車両の場合は、エンジン始動前の空キック時に異変を感じた。エンジン始動前にはクランクが正常作動するか?スパークプラグから火花が出るか?プラグを外してシリンダーヘッドにネジ部分を押し付け、空キックを何度か踏み込み、正常にクランキングするか?火花が出るか?確認するが、この際に、プラグ穴からエンジンオイルが「間欠泉」のごとくブシュ、ブシュっと音を立てて吹き出してきたのだ。

そこで、エンジン始動に取り掛かる前に、キャブレターを取り外してオイル噴射ノズルを確認点検してみることにした。すると、閉じていたロータリーディスクバルブに堰き止められるかのように、インテークポートに溜まっているエンジンオイルを発見。

仮に、ロータリーディスクバルブの切り欠き部分が、吸入ポートに差し掛かった状態だと、エンジンオイルは自然落下でクランクケースの一次圧縮室(クランク室)へ落ちてしまう。具体的には、オイルタンクに入れておいたはずのエンジンオイルが、たいして走っていないのに「オイル量が低下している?」といったような場合は要注意!!そんなオイル落ちに気が付かず、エンジン始動を試みようとすると、一次圧縮室に落ちて溜まったエンジンオイルがクランキングによって掃気ポートから燃焼室へ立ち上がり、次の瞬間には、ウォーターハンマー現象が起こり、不幸中の幸いでもヘッドガスケットが吹き抜けてしまう。最悪で、ピストン破壊やコンロッドを曲げてしまうことにもなる。過去にウォーターハンマー現象を起こした2ストロークエンジンの場合は、何らかの症状を起こしていたはずなので、気が付いた時にはオイルラインのチェックバルブを確認点検しよう。

また、燃料コック不良やキャブレターのフロートバルブ不良でオバーフローを起こし、外部ではなく、エンジン内にガソリンが流れ落ちてしまうこともあり、それでも同様のトラブルが発生してしまう。2ストエンジンモデルのオーナーさんは、異変に気が付いたなら、各部品を点検し、必要に応じて部品交換しなくてはいけない。

そんな意味でも、久しぶりにエンジン始動する際には「スパークプラグを取り外して、スムーズにクランキングすること」から確認しよう。仮に、一次圧縮室=クランク室内にエンジンオイルやガソリンが落下していることに気が付いたなら、クランク室内の液体をすべて抜き取らなくてはいけない。その際には、エンジン腰上の分解が必要で、シリンジ+チューブで液体を抜き取る。その後は、混合ガソリンで内部を洗浄し、再度、混合ガスをシリンジで抜き取り、そこから復旧メンテナンスに取り掛からなくてはいけない。中途半端にエンジンオイルや洗浄用混合ガソリンが残ったまま始動トライすると、前述したウォーターハンマー現象で、無意味なダメージをエンジンに与えてしまうので要注意だ。

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