Saturday, August 12, 2023

AIを最大限活かしたいなら、プロンプトエンジニアリングは必要ない ... - DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

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AIを最大限活かしたいなら、プロンプトエンジニアリングは必要ない

HBR Staff; Bigmouse108/Getty Images, Olga Kurbatova/Getty Images; serts/Getty Images

サマリー:プロンプトエンジニアリングは生成AIの世界で注目されている。しかし、AIの進化によりその必要性が低下する可能性がある。その代わりに重要視されるのが、問題設定だ。問題設定の構成要素は、問題の診断、分解、リフ... もっと見るレーミング、制約の設計に分解でき、それらのスキルが求められる。問題設定のスキルは持続的で適応性のあるものであり、筆者はAIの潜在能力を最大限に活用するためのカギと位置づける。 閉じる

効果的な問題設定を行うための構成要素

 プロンプトエンジニアリングが生成AIの世界に旋風を巻き起こしている。

 大規模言語モデルとのコミュニケーションを効果的に行うために、テキスト入力を最適化するこの仕事は、世界経済フォーラムで「未来の仕事」の筆頭としてもてはやされた。また、オープンAIのCEOであるサム・アルトマンは、プロンプトエンジニアリングを「驚くほど活用度が高いスキル」と位置づけた。

 ソーシャルメディアには、「魔法のプロンプト」を紹介して驚くべき成果を約束する新たなインフルエンサーたちがあふれている。

 しかしながら、その評判とは裏腹に、プロンプトエンジニアリングが重要視されるのは一時的なものかもしれない。それにはいくつかの理由がある。

 第1に、将来のAIシステムはより直感的になり、自然言語をより巧みに理解するため、綿密に設計されたプロンプトの必要性は減る。

 第2に、GPT4などの新しいAI言語モデルは、プロンプトの作成に大いに有望であることがすでに示されており、AI自体がプロンプトエンジニアリングを必要としなくなりつつある。

 最後に、プロンプトの有効性は個々のアルゴリズムに左右されるため、AIの多様なモデルやバージョンを横断しての実用性は限られる。

 では、生成AIの潜在能力を活用し続けることができる、より持続的で適応性のあるスキルは何だろうか。それは問題設定(problem formulation)、つまり問題を特定し、分析し、正しく説明する能力である。

 問題設定とプロンプトエンジニアリングでは、焦点、主要タスク、基盤となる能力が異なる。プロンプトエンジニアリングは、語彙、フレーズ、構文、句読点などの符号を適切に選び、最適なテキスト入力を作成することに焦点を当てる。一方で問題設定は、問題の焦点、範囲、境界線を正確に説明することによって、その問題を定義することに重点を置く。

 プロンプトエンジニアリングに求められるのは、特定のAIツールに関する正確な理解と、言語運用能力だ。問題設定で必要となるのは、問題の領域に関する包括的な理解と、現実世界の課題を抽出する能力である。

 実は、問題が適切に設定されていなければ、どれほど洗練されたプロンプトであっても十分に効果を発揮しない。しかし問題が明確に定義されていれば、プロンプトの言葉の微妙な違いは、解決策にはほとんど関係なくなるのだ。

 残念なことに、問題設定のスキルは、大半の人々から見過ごされており、まだ十分に習得されていない。その一因は、問題の解決に過度に重点が置かれ、設定がないがしろにされていることにある。

 このアンバランスを最も如実に示すのは、「問題を持ってくるな、解決策を持ってこい」という、広く流布しているが的外れなマネジメントの格言だろう。したがって、近年の調査で経営幹部の85%が、自社は問題の診断が苦手であると考えているのも意外ではない。

 問題設定のスキルを高めるには、どうすればよいのか。筆者は問題設定と職務設計に関する過去の研究からの知見を総合し、合わせてクラウドソーシングのプラットフォーム(多数の参加者に対し、組織的課題の説明と公開が定期的に行われる場)での自身の経験と研究も踏まえ、効果的な問題設定のカギとなる4つの構成要素を特定した。それは、問題の診断、分解、リフレーミング、制約の設計である。

問題の診断

 問題の診断とは、AIで解決すべき中核的な問題を特定することだ。言い換えれば、生成AIに達成してもらいたい主要目的を特定することである。

 たとえば、従業員への報酬に関するさまざまな人材マネジメント戦略のような、具体的なトピックについて情報を集めることが目的の場合、特定は比較的簡単だ。一方、イノベーションの課題に対する解決策を模索しているような場合だと、問題の特定はより難しい。

 その典型的な例が、イノセンティブ(現在はワゾク・クラウド)である。同社はクライアントの問題設定を2500件以上支援し、成功率は80%以上を誇る。筆者がイノセンティブの社員らにインタビューを実施したところ、この成功の裏にある重要な要因は、問題の根底にあるものを見極める彼らの能力であることが判明した。実際、彼らは単なる症状と根本原因を区別するために、問題設定のプロセスを「5つのなぜ」から始めることが多い。

 具体的な事例として、亜寒帯の原油の問題がある。エクソン・バルディーズ号による壊滅的な原油流出の後、亜寒帯水域を浄化する必要があった。原油流出復旧研究所との協働の下、イノセンティブは、原油除去に伴う課題の根本原因が原油の粘度であることを突き止めた。凍った原油は粘度が高すぎて、運搬船の上から汲み上げることができなかったのだ。

 この診断が決め手となり、原油を液状に保つために振動させるよう設計された改良版の建設機器を使うという解決策を通じて、20年間続いてきた問題がようやく解決へと向かった。

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