セダンは「絶滅危惧種」、次期モデルはEVやSUVも視野か
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セダンではなく多目的スポーツ車(SUV)を求める声が強まる日本市場。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など電動車が売れ筋となる中、日産自動車はセダンで、しかもガソリンターボエンジン搭載のハイパフォーマンス車「スカイラインNISMO」を発表した。なぜ今さらセダンでエンジンなのか。
(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
高級ハイパフォーマンス仕様の登場
日産は2023年8月8日、横浜本社で「スカイラインNISMO」を発表した。
同車は、2014年に発売した現行「スカイライン」の上位モデル「400R」をベースにさらにハイパフォーマンス仕様にした車だ。日産の子会社である日産モータースポーツ&カスタマイズが手がけたカタログモデルで、全国の日産新車販売店で購入できる。
特長は、「400R」に搭載する3.0リッターV型6気筒ターボエンジン「VR30DDTT」を改良し、最高出力を425馬力、また最大トルクを550Nmに引き上げたこと。そのほか、空力パーツ、タイヤ、ホイール、サスペンション、そしてエンジン制御を走行中にドライバーが変更できるドライビングモードをNISMO専用に改良するなどして、「技術の日産」の名に恥じない運動性能を実現した。
価格はベースモデルが788万400円。最上級モデルの「Limited」(947万9800円)のエンジンは日産での社内資格である「匠」の称号を持つエンジニアが手組みをする。
しかし、世の中はEVなど電動車に急速にシフトしており、しかもスカイラインのようなセダンは人気が低迷している。こうした状況の中、なぜ今、「究極のスカイライン」ともいえるモデルが登場したのか。
記者会見後、日産モータースポーツ&カスタマイズの社長兼最高経営責任者の片桐隆夫氏に、筆者はこう聞いた。
「世の中が大きく電動化に移行している今、こうした(非電動の)ハイパフォーマンスカーを市場導入する意義をどう捉えているのか」
これに対して片桐氏は「さらに高性能化したNISMO(仕様)の電動車に今後、力を入れていくことは間違いない。一方で、GT-R、フェアレディZ、そしてスカイラインという、日産の財産であるスポーツカーに対して、さらにハイパフォーマンスな仕様を求める声がお客様からあるため、それに応えていく」という見解を示した。電動化は進めるが、スポーツカーのコアのファン層はエンジン車を今も求めているということだ。
そして、「NISMO」を発売するタイミングについては、「今年が日産90周年という節目」を意識したとも言う。
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