2023年08月08日07時05分
昨年米国で起きた米海兵隊の輸送機オスプレイの事故で、エンジンの動力をプロペラに伝えるクラッチだけでなく、エンジン停止時のリカバリー機能にも不具合が生じ、墜落原因になったと、米軍の調査報告書が指摘していたことが分かった。報告書は事故を「複合的な緊急事態」と表現している。防衛省にとっても「想定外」の事故だった。
海兵隊はこれまで「エンジン1基でもあらゆる運用モードで安全な飛行が可能」としており、防衛省も対外的に同様の説明をしてきた。機体の安全性を強調してきた日米両政府の説明に疑念が生じる形となった。
◇リカバリー機能働かず
オスプレイは主翼内を通る回転式のシャフト(軸)で左右のエンジンを連結。片方が停止しても、残る1基の出力を分配し、飛行を継続できる「インターコネクト・ドライブ・システム(ICDS)」と呼ばれるリカバリー機能がある。
事故機は訓練中にプロペラとエンジンをつなぐクラッチが勝手に離れ、再結合時に衝撃が生じる「ハード・クラッチ・エンゲージメント」(HCE)が左右のエンジンに発生。右エンジンの動力系統が損傷した。左エンジンから出力を分配しようとしたが、急激な回転力伝達の影響でICDSも故障した。
右エンジンは推力を喪失し機体はバランスを崩して墜落、炎上。搭乗員5人が死亡した。
◇パンフには「片方故障でも飛行」
防衛省は、海兵隊がオスプレイを2012年に沖縄県に配備する際、同機の事故が相次いでいたことから不安を払拭するためパンフレットを作成。「片方のエンジンが故障しても、飛行を継続できるよう設計」などと記述。佐賀県への陸上自衛隊オスプレイ配備に向けた説明でも「万が一の際もバックアップ可能」と安全性を強調した。
防衛省は「二重(左右エンジン)のHCE発生によるICDSの故障という極めてまれな現象が発生しており、過去の説明では想定していなかったような事故」とコメント。「米側は一定の使用時間を経過したクラッチ関連部品を交換すれば、HCEの発生を99%以上低減でき、オスプレイの飛行の安全を十分確保している旨、防衛省に説明している。現時点でパンフレットを修正する予定はない」とした。リカバリー機能も含め適切な対応が取られているとの見解を示した。
米国防総省傘下でオスプレイを一元的に管理する当局者は「事故データは評価され、ICDSを改善する選択肢を継続的に調査する」などとしている。
からの記事と詳細 ( 機体安全性、日米説明に疑念 エンジン回復機能にも不具合―海兵隊オスプレイ事故報告書 - 時事通信ニュース )
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