ベントレーが史上最もパワフルな12気筒(W12)エンジンの生産を2024年4月に終了することを発表した。2003年に6.0リッターのツインターボモデルが初導入されて以降、ブランドのラグジュアリーモデルの心臓部として高いパフォーマンスを発揮してきた12気筒エンジンは最終バージョンの耐久性テストも終了。750PS/1,000Nmのパフォーマンスを持ち合わせているW12エンジンは数量限定の一部ラインナップに搭載される。
W12エンジン最後のバージョン
今年2月22日、ベントレーが12気筒ガソリンエンジンの生産を2024年4月に終了することを発表した。この決定は、ベントレーの「Beyond100」戦略による持続可能な未来に向けた政策の一環であり、モデルライン全体を完全に電動化し、車両の平均CO₂排出量を0g/kmにまで削減することを目指している。この戦略はすでに始まっており、ベンテイガ、フライングスパーのハイブリッドモデルには、ベントレーの予想を超える需要が集まっているという。
来年、W12エンジンの生産が終了すると、ベントレーの全ラインナップにハイブリッドパワートレインのオプションがラインナップされることになる。その時まで、10万台以上の象徴的なW12が英国クルーのドリームファクトリーで手作業で製造されることになる。
ベントレーは、最近にW12エンジンの最もパワフルなバージョンの開発作業を終了させており、改良されたエンジンはこれまでで最もパワフルなロードモデルに搭載されることになる。現在では、コンチネンタルGT、ベンテイガ、フライングスパー・スピードバージョン、フライングスパー・マリナーのW12バージョンが数量限定で注文を受け付けている。
W12エンジンの歩んだ軌跡
2003年に6.0リッター ツインターボW12が初めて導入されて以来、クルーのエンジニアリングチームは、パワー、トルク、排出ガス、洗練性の面でエンジンの性能を継続的に向上させてきた。この20年間で、出力は37%、トルクは54%向上し、排出ガスも25%削減された。当初は、制御システムの進化と最適化、オイルや冷却設計の改善、ターボチャージャー技術、より効果的な噴射・燃焼プロセスによって改良が実現された。また、2015年のベンテイガの発売に合わせて、W12はサンプルから完全に再設計され、現在も生産されているのは、気筒休止、直噴およびポート噴射、ツインスクロールターボを特徴とする新バージョンのエンジンとなっている。
W12エンジンは、職人チームによって6時間半かけてひとつひとつ手作りされ、3台の専門診断機で1時間以上かけて高度なテストが行われる。毎週、1台のエンジンが長時間のテストサイクルで運転され、検査のために完全に分解されている。W12エンジン工場は、今年の20周年を迎えるまでに実に10.5万基を超えるエンジンを供給してきたという。
終焉を飾る最後のW12
W12エンジンの最終バージョンとして、マリナーのエンジニアリングチームは吸気、排気、冷却システムを最適化させ、かつてないほどのパワーとトルクを解放させた。マリナーのチーフテクニカルオフィサーであるポール・ウィリアムズ(かつて第2世代W12の開発を指揮)の監視のもと、エンジンは最高出力750PS、最大トルク1,000Nmという記録的な数値でサインオフされた。
ターボチャージャーのコンプレッサーは効率を高めるために新設計され、そこに空気を送り込むダクトも33%大きくなった。ピーク出力時には、1時間あたり1トン(1,050kg)以上の空気を取り込むことになるという。深さが10mm拡大された大型のチャージエアクーラーと新しいコア形状は、加圧された吸気から35%以上の排熱を行い、吸気温度をより低くして高い出力を実現している。
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