ヤンマーパワーテクノロジー(YPT)は2023年6月、日本財団の「ゼロエミッション船の実証実験にかかる技術開発助成プログラム」において、燃焼時にCO2を排出しない水素を燃料とした内航船舶用の「水素専焼4ストローク高速発電エンジン」を開発すると発表した。将来的に小型船舶向けの推進エンジン(主機関)としての用途も視野に入れて開発を行うという。
このプロジェクトでは、国内の海上貨物輸送に使われる内航船舶用の水素専焼エンジンの開発を目指す。具体的には、少量の着火用バイオ燃料と水素混焼により、ゼロエミッション化を図る「パイロット着火式」エンジンと、「火花点火式」による水素専焼エンジンを同時に開発する。
2024年からパイロット着火式の6気筒水素エンジンによる陸上実証試験を開始し、2026年の実証運航を目指すという。加えて、同型式の火花点火式水素専焼エンジンによる陸上実証試験を同時並行で進め、水素エンジン対応電気推進船舶の普及を図るべく、その先駆けとして2030年頃からの水素エネルギーを基にした内航船舶のゼロエミッション化に取り組む方針だ。
なお今回のプロジェクトでは、水素エンジンの開発と同時に、水素エンジン発電機とバッテリーの組み合わせによる「水素エンジン対応のハイブリッド電気推進船」の開発も行う。これは「水素燃料エンジン」と「水素燃料供給システム」を、コンテナユニット型の水素発電装置として上甲板部分に搭載することができる新たな船舶で、開発・建造は、上野グループの海運会社である上野トランステックが担当する。
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