エンジンオイルの価格は安いものから高いものまでさまざまありますが、安いオイルと高いオイルは何が違うのでしょうか。また、それぞれに適した使用用途があるというのですが、どういうことなのでしょうか。
なぜエンジンオイルの価格はさまざま?
クルマの心臓部ともいえる「エンジン」ですが、その内部を「エンジンオイル」が循環しています。
このエンジンオイルにはエンジンの「保護」「潤滑」「冷却」などのさまざまな役目があり、定期的な交換が必要です。
自動車ディーラーやカー用品店、整備工場などで定期的にエンジンオイルを交換する人は多いでしょう。
一般的なエンジンオイルであれば数千円で交換できますが、高いエンジンオイルだと数万円かかることがあります。
安いエンジンオイルと高いエンジンオイルは、何が違うのでしょうか。
エンジンオイルは「鉱物油」「部分合成油」「合成油」があり、鉱物油は安価、合成油は高価であることがほとんどです。
安いエンジンオイルと高いエンジンオイルはそもそも製造方法(蒸留方法)に大きな違いがあるといいます。
石油大手の出光興産に聞いてみました。
「鉱物油は原油(石油)を使用して製造(蒸留)するのですが、蒸留する温度でオイルの粘度を分けています。そして水素と炭素の混合物が多数混ざった状態のオイルになります。
一方の合成油は、一例ですが、『ポリアルファオレフィン(PAO)』と呼ばれる合成基油を使っています。
単一物質で製造されるので混合物が混ざっておらず、無色透明、無臭の化学合成油です。
また、鉱物油と合成油の大きな違いは、製造方法とライフ性能です。
合成油のほうが鉱物油と比較してライフ性能が高く、エンジン保護の観点からもメリットが大きいと思います」
合成油に関して、ほかにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
「鉱物油に比べて、合成油はエンジンオイルの酸化や劣化がしづらいといえます。そして、高回転・高負荷時にエンジンパフォーマンスが低下しにくいようエンジンをカバーできます。
また、温度変化に非常に強く、熱ダレなどを引き起こしにくくなります」(出光興産)
夏は気温がグングン上昇していきますが、そういった環境では、エンジンの温度変化にも強く、エンジンの保護性能も期待できる合成油が適しているといえそうです。
一方で、「もう少し安く合成油を使えたら」とも思うでしょう。
出光興産は「より厳しい環境で使用しても性能が落ちないよう研究開発・設備投資してエンジンオイルを開発しているので、鉱物油と比べると価格差が発生してしまいます」とコメントしており、高額なのは仕方がないともいえます。
しかし、圧倒的なエンジンレスポンスが体験でき、使ってみたら違いがわかるとのこと。性能に関しては、鉱物油よりも合成油が優れているということです。
エンジンオイルはクルマの性能に直結するものなので、用途に合わせて適切なものを使用するべきでしょう。では、安い鉱物油で問題ないのはどのようなケースなのでしょうか。
一般的に、「街乗り」「送迎」「買い物」といった使い方をするのであれば、経済面で優れている鉱物油で問題ないと思います(メーカーより粘度指定があるクルマは除く)。
また、高速道路を走ったり、ロングドライブをする機会が多いのであれば、部分合成油がおすすめです。
部分合成油は、鉱物油として蒸留したオイルに、ポリアルファオレフィン(PAO)合成基油を混ぜて製造されるオイルで、価格も合成油に比べて安く、性能面では鉱物油に勝っています。
そして合成油は、高負荷・高回転でのレスポンス・エンジン保護に適しており、サーキット走行する場合などにおすすめのエンジンオイルだといえます。
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安いエンジンオイルと高いエンジンオイルの違いや、それぞれに適した用途についてはわかりましたが、では、両者で変わらない点はあるのでしょうか。
これについてエクソンモービル・ジャパンに聞いてみたところ、「細かな点は企業秘密なので回答できませんが、配合している添加剤などは安いオイルも高いオイルも大きな差はなく、そのため鉱物油でも安心して使ってもらえます」とのことでした。
経済性を考えるときは鉱物油、品質や性能を求めるなら合成油というように、クルマの使用状況に応じて、エンジンオイルを選択するのが良さそうです。
からの記事と詳細 ( クルマの「エンジンオイル」なぜ価格がピンキリ? 「安い・高い」は何が違う? 安いオイルでOKなクルマはどれ? - くるまのニュース )
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