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ロータリーエンジンを約11年ぶりに復活させ、直列6気筒(直6)エンジンを新開発したマツダ。“エンジン派”に見えるが、パワートレーンの将来像をどう描いているか。同社専務執行役員の廣瀬一郎氏へのインタビューの後編は、電動化戦略を中心に聞いた。開発をにおわせている「新しいハイブリッドシステム」の輪郭や、トヨタ自動車との距離感も分かってきた。
(聞き手は久米 秀尚=日経クロステック/日経Automotive)
内燃機関(ICE)とどう向き合うか。
当面はICE車が利益を出していくし、当社としてはエンジンに最後までこだわる。ただ、(エンジンの機種数は)少し絞り込んで、リソースを新しい領域に移していく時だとも捉えている。
これまではフレキシブル生産という形で変種変量生産を可能にして様々な機種を造ってきたが、生産の維持が難しくなってきた。平常時は問題ないが、新型コロナウイルス禍では(エンジンの)バリエーションの多さで影響が出た。当社が大丈夫でも、サプライヤーの負担が増える場合もある。生産をロバスト(頑健)にしていくには、やはり機種数を絞っていく必要がある。
もう1つ、機種数を削減すべき理由がある。それが、(法規の)認可・認証の要件が劇的に増えてきたことだ。ハードウエアをいくら効率的に造り分ける技術があっても、最後の認可・認証プロセスで失速してしまう。最近では、サイバーセキュリティー(国連規則の「UN-R155」)やソフトウエア更新(「同R156」)などへの対応が追加された。
確かに法規対応が大きな負担になっている。マツダのソフト担当に取材した時も、「とても苦労している」と聞いた。
本当に大変だ。(従来部品を繰り越しで新型車に使う)キャリーオーバーのような場合でも、仕様を1つ変えるだけでペーパーワークが増えてしまう。サプライヤーの負担も増えてしまうので、大本(のエンジン機種数)を絞り込まないと造り続けることがだんだんと困難になってくる。
マツダだけで「ICE車を造り続けます」と宣言しても、サプライヤーがついてこられない。機種数を減らして(同じ部品を使えるように)量をまとめていかないと維持できない。そんな時期に差し掛かっている。
エンジンの機種数をどれくらい減らすのか。
具体的には言えない。幹となるエンジンを決めて、そこに集約していく。
2022年に実用化した排気量3.3Lの直6エンジンが幹になるという理解でいいか。
そうだ。直6と、(2019年に量産を開始した小型車「MAZDA3」から使う)「スモール商品群」向けのエンジンに最新技術を入れて、1つの幹になるシリーズにしている。
新規のエンジンを真っ白なキャンバスに描くことはもうないのか。2021年には「(今後は)大きな投資をせずにエンジンの改良を継続する」と宣言していた。
ずっと活用できる資産として新しい幹をつくった。今後10年近くは使えると思っているのでこれを生かす。もちろん改良はするが、大きな投資をかけることはしない。金輪際コストをかけないわけではなく、非常に効果的な投資できちんと性能を維持向上していく。
モデルベース開発(MBD)によって、エンジン筒内の燃焼もモデル化している。3.3Lの直6エンジンで採用した最新の燃焼技術を展開すれば、気筒数を2つ減らした2.2Lエンジンも進化しそうだ。
そうだ。
マツダは「究極のエンジン」実現に向けて3つのステップを定めている。現状、どの段階にいるのか。
からの記事と詳細 ( 究極のエンジン「はっきり見えてきた」、マツダ廣瀬CTO - ITpro )
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