ICE(内燃エンジン)とモーターの出力比率を変更すべきだとするレッドブルに対してメルセデスは断固反対しているが、同じくF1パワーユニット(PU)サプライヤーのフェラーリは肯定的なスタンスを見せている。
ホンダやアウディの参戦をもたらした2026年のPUレギュレーションは、内燃機関と電動モーターの出力が各々約50%となるよう設定されている。現行PUは80対20程度だ。
ただ車両重量の増加と、冷却要件的に車体空気抵抗の悪化が見込まれる事から、デプロイメント(回生によって蓄えられた電気エネルギー)が1周保たずに枯渇し、レースを損ねる可能性があるとして、規定変更を求める声が上がっている。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はICEの出力割合を5~10%引き上げる事を提案し、規定変更なき場合、本来であれば全開走行が期待されるストレートでドライバーが意図的にシフトダウンを行い、エネルギー回生を行わなければならなくなる可能性があると指摘した。
またマックス・フェルスタッペンは、2026年のシミュレーション・データを見る限りは「かなり酷そうだ」と述べ、「モンツァのストレートを全開で走った場合、ストレートエンドの400〜500mくらい手前でシフトダウンしなきゃならないんだって。その方が速いらしい」と懸念を示した。
ホーナーの提案に対し、犬猿の仲にあるメルセデスのトト・ウォルフ代表は「可能性はゼロだ」と拒絶し、提案の背景にはレッドブルの開発の遅れがあるはずとだ指摘。これについてホーナーは「典型的なトトだ」と述べ、自己利益しか考えていないと非難し、自身の関心事は「自己利益よりむしろスポーツ全体にある」と主張した。
英「The-Race」によるとフェラーリのフレデリック・バスール代表は、ストレートで早々とドライバーがリフト&コーストをしたりするなどの「懸念」があるのであれば、例えレギュレーションが既に合意されているとは言え「微調整する時間はある」として、規定変更は可能との認識を示した。
また、ICEの出力を5%変更する事による速度への影響は「巨大」であるとしながらも「ゲームチェンジャー」にはならないと述べ、エンジン開発を一変させるようなインパクトはないと説明した。
この問題が厄介なのは、2026年のエンジン規定は昨年合意に至った一方、車体側のルールはまだ議論中であるという点が大きい。
目下、懸案の空気抵抗を減らすために、DRSより可動性の高いアクティブエアロを導入する事や、エアロダイナミクスを抜本的に変更すること等が検討されているものの決定には至っておらず、ダウンフォース/ドラッグレベルはもちろん、タイヤのサイズすら確定していない。
バスールは、現時点では「明確な全体像を把握することは非常に困難」であり、議論は「仮定」に基づくものばかりであるとして、まずは「幾つかの重要なパラメーターを確立」する事が必要だと指摘し、その上でショーを改善するために「ポジティブで、建設的であり続け、解決策を微調整するよう努めなければならない」と強調した。
デプロイメント切れへの対処はICEの出力を引き上げる事も一つだが、一時期議題に上がっていたリアのみならず4輪全てでエネルギーを回生する方法も考えられる。
だがバスールは、現在の最大の問題点はスポーツカー並に増加しつつある車重であるとして、「最低30kg」もの増加に繋がるフロント回生の追加には否定的な考えを示した。
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